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出会いは衝撃的に(後半)

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「でも、眠れるかな?心配だわ」
 きれいに拭いた食器を二人で収納した。
「こっちは徹夜明けだからね。横になったらすぐ眠れるよ。スーパーから戻ってすぐに温泉に入ったのは正解だったね」
 別荘の裏庭に露天の温泉があった。温泉宿にあるような庭園風岩風呂だったので、浅野は朝風呂も愉しみにしていた。少々残念だったが、御来光を拝むなどということは十年ぶりのことなので、我慢することにした。
「朝の入浴は御来光のあとよ。それでいいでしょ」
 スーパーで買って来た歯ブラシで二人は歯を磨いていた。
「まいったな。完全に読まれたね。さて、それではおやすみなさい」
 浅野は、本当にこのままで良いのだろうかと思いながら云った。
「おやすみなさい」
 気のせいか、美絵は名残惜しそうだった。だが、彼女は浅野を見送ったあとで照明を消し、廊下に出てきた。
 どの寝室でやすむかは、夕食前に既に決めてあった。それぞれの寝室に入ったとき、浅野は窓から月の光が差し込んでいることに気づいた。
 すぐに眠れる筈だったベッドの中で、浅野はまばゆい月を見ていた。それは満月に近い月で、かなり明るかった。
 浅野は、美絵が夕焼けを眺めながら云ったことばを思い出した。わたしの気持ちが空に届いたのだと、彼女は云った。その時点で、互いに惹かれ合っていることはもはや明白だった。
 だが、半年近く前のあの事故に関し、ボートの上で彼女は、わざと追突したのだとも云っていた。それは、どういうことなのだろうか。それについて食事中に確認したいとも思ったのだが、そうすることを彼は躊躇った。あの、愉しい時間を崩壊させたくなかった。ただ、それだけだった。