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出会いは衝撃的に(後半)

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衝撃の告白



 重厚な落ち着いた雰囲気の広いリビングダイニングを、薪を炊く暖炉が温めている。二人はそこで笑いながら食事をし、会話を愉しんでいた。スーパーでバースデイケーキと共に出来合いのものを買い込んで来たのだが、その夕食が間もなく終わろうとしている。二人とも紅い顔になっているのは、既に二本目のワインを飲み始めていたからである。
「改めて云おうかな。誕生日、おめでとう」
 ケーキを二つ並べ、それぞれのロウソクの炎を吹き消したときにも同じことを云い合った。
 美絵は浅野に対する礼を云ったあと、
「浅野さんも、おめでとうございます……ねえ、来年もここで会えない?」
「来年か……そうだね。それは名案かも知れない」
「じゃあ、約束ね」
 美絵はテーブルの向こうから腕を延ばし、白くて細い右手の小指を立てている。浅野も同じようにして自分の右手の小指と美絵のそれとを絡めた。二人は声を揃え、指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます、と歌うように云った。浅野はその行為の最中に、ボートの上でのことを思い出すと胸の奥に熱いものが湧き上がり、疼くようだった。美絵を再び抱き締めたいと思った。しかし、指切りを終えたときには凝視め合い、笑い合っただけだった。もう少し我慢したかった。
「明日は何時にここを出る?」
 浅野のその問いに対し、美絵はきつい表情になって宣言した。
「三時半よ。山の上から御来光を拝むの!」
「そういう不意打ちかぁ。でも、職業柄そんなことは朝飯前だよ。じゃあ、もう寝る時間だね」
 時刻は漸く午後八時を回ったところである。すぐに二人で後片付けをし、手分けして食器を洗った。