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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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「な、な、なんと・・・・惨い事・・・」

「爺さん!一体、どうした!」

「惨い事を・・・」

 腰を抜かして木箱の中を凝視する森一の背中越しに、賢三が木箱を覗いた。そして、森一と同じく腰を抜かした。

「何て事だ・・・・」

 木箱の中。柔らかい毛布に包まれた赤ん坊が入っていた。目を閉じ、じっとして動かない。

「し・・・死んでいるのか・・・?捨て子か?」

「分からん・・・賢三さん・・・確かめろ」

「爺さんが確かめてくれ」

「ワシは嫌じゃ。こんな幼子・・・もし死んでいたら悲しくてやりきれん!賢三さん、頼む。この子が息をしているか・・・確かめてくれ」

 森一にそう言われ、賢三は這うように、恐る恐る木箱を覗き込んだ。船が揺れる為に中々様子が判らない。

「爺さん・・・この子」

「生きているか?・・・それとも・・・」

「生きているぞ!微かに息をしている!大変だ!」
作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ