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盟友シックスⅡ! ―BEYOND THE WORLD―前編

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第3章 極楽の山と神獣



成人の儀から三日後 俺たちはジャポーナの西、チャイニアのホーライを目指していた
成人の儀の翌日、俺に正式に魔王討伐が依頼され林以下成人の儀に向かった全員が魔王退治に向かうことになったのだ
「もうすぐホーライに着くはずだ」
「やっと休めるね…」
林と森先の言葉を聞くと同時ぐらいに俺はただならない気配を感じ立ち止った
「どうした?」
「いや 何でもない」
俺はそう言って歩き出したが心に何か引っかかっていた
(…何だ? このプレッシャーは…)
そんな俺たちを見下ろせる山の上…

「力を持つもの… 待っていたぞ」

「のどかなところだねー」
呑気をそのまま人型にしたような男、森先が言う
「そうだな 争いのない、いい所だ」
何か意味深な言葉を林が言ったのだがプレッシャーの主を探るのに精いっぱいで俺は聞いていなかった
「…何か感じているのか?」
「わかるか… やっぱり強いもんな」
「俺には何となくくらいは感じてるが…他は多分感じてないな」
俺と林がそんな話をする
「何しに来たんだっけー?」
「お前… 麒麟に会いに来たんだろ」
そう、俺たちは六柱獣(魔王の封印を管理していた獣たち)の一人麒麟に会うためにホーライの町に来たのだ
「ふぉっふぉっふぉ… お主ら麒麟に会いに来たのかのぅ?」
「誰だ爺さん」
身も蓋も礼儀のれの字もないような言い方で牧場が聞く
「爺さんとは失礼な これでもまだ200歳じゃぞ?」
(爺さんどころか人間じゃねーよっ!)
心の中でのツッコミは皆同じだろう
「おじーさんは麒麟がどこにいるか知ってるのー?」
ミスター呑気こと森先が聞く
「ふぉっふぉっふぉ 知っておるぞ ズバリ、この先の蓬莱山じゃっ!」
おじいさんはヨボヨボと山を指差す
「わかったー!おじーさんありがとー!」
森先がぱたぱたと子供のように駆け出していくのを俺たちは黙って見ていた
何故か? 体力切れを起こすのが解っていたからである
(何なんだよあいつはっ!)
以心伝心の如く全員でゲンコツを確定させ蓬莱山への道を歩み始めていた
そんな俺たちを後ろから見ている影…
「さぁ山頂まで来い 私は待っているぞ」

「はーはー…もうダメ…」
森先が倒れこむ
「アンタは…そうなるってわかっててなんで走るのっ!」
下野の一発を皮切りに全員がゲンコツを入れ森先のゲンコツ総数は記念すべき10発に達した
「あー…洞窟か…」
「どうした?」
「いい思い出ないんだよなぁ…」
あの時の鱗の感触が蘇る
「過去は過去だろ? 行こうぜ」
「あぁ…」
俺たちは中に入った…

中は薄暗かったが一本道だった
(今回は…大丈夫だよな?)
今回は大丈夫だと思って進んでいったがやはりトラブルは起きた
大体15分くらい経ったころだろうか
「何だ?何か引っかかる構造だな…」
その広間は2つの円形の広間をくっつけた…瓢箪(ひょうたん)のような形だった
「向こうにも部屋があるんだね」
森先が一人で別の部屋に入ったそのときだった
シュインッ!
突然部屋と部屋の間に結界らしきものが現れ森先と俺たちが別々の部屋に閉じ込められてしまった
「あわわわ…開けてよっ!」
森先が慌てて結界を叩く
…とほぼ同時だろうか 俺たちの部屋に優に100近い数の魔物が現れる
「…ちぃっ!」
森先を除く全員が武器を構える
「森先!聞こえてるなら先に行け!」
「で、でも…」
「さっさと麒麟にあって宝玉もらって来いよ!その間に帰り道は開けといてやるからさぁ!」
「わかった! 必ず宝玉もらってくるからね!」
森先は駆け出していった
「…全滅は回避か」
「死ぬ気か?」
「馬鹿言うなよ 生きるに決まってるだろ」
俺たちは静かに相手の隙を伺い始めた…

SIDE森先

「はぁっはぁっはぁっ…」
僕はひたすら階段を駆け上っていた
「速くしなきゃ…みんなが…」
でも体は悲鳴を上げ始める
「しんど…でも、諦めない」
ただひたすら上へ、上へと駆け上がっていると突然視界が開けた
山頂付近と思う少し広い広場、その真ん中にいたのは…
「麒麟?」
新緑のような、鮮やかでそれでいて深い緑色をした一本角の馬だった
「いかにも、私が六柱獣の一角緑の麒麟だが?」
「やっぱり…」
僕は大きく息を吸い込み覚悟を決めて言った
「宝玉…僕にくださいっ!」
「貴様、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
宝玉とは、六柱獣がそれぞれ持っている赤、青、緑、黒、白、銀の6色の玉で勇者とその仲間たちだけが持つことを許される宝である
「わかってます… でも、みんなを助けるために麒麟の…あなたの力が必要なんですっ!」
「何故貴様は自分の力で助けようとしない? はなから我の力を頼りきっているのではないのか?」
「違うよっ! …僕はみんなみたいに上手く戦えないから、いつも足手まといになってばかりだから… でも僕はみんなを救いたい、一回ぐらい役に立ちたいの!」
「フン、下らんな」
そう言ってそっぽを向いた麒麟を見たとき、僕の中で何かが切れたような感じがした
「もう…知らないっ! あなたみたいなのにはもう頼らないからっ!」
僕はそう言って階段を駆け下りていった
「さて… 貴様の覚悟、見せてもらうぞ」
麒麟がそう言ったことを僕は知らない…

SIDE宮寺

「数ばっかり多くって…」
俺たちの疲労は限界に達していた
「川本、弾は?」
「切れた」
「牧場、魔力は?」
「川本と同じだ」
もうすでに戦う術さえ失いかけていた
「どうする…このまま全滅か?」
「いや、森先がいるだろ?」
拳を構えたまま林が言う
「そうか… そうだよな」
俺は剣を構えた
「川本と牧場は待機、俺と林と下野で攻撃する 行くぞっ!」
俺はゼクレスの力を使い敵に飛びかかると後の二人もそれに続いた
「せいやーっ!」
「えいっ!やっ!」
「はぁっ!」
次々と敵を撃破しているはずなのに一向に敵が減らない
「だめか…やられるっ…」
俺たちが諦めかけたその時、結界を突き破って入ってくる者がいた
それは…
「森先?」

SIDE森先

麒麟のところを飛び出してからはよく覚えていない
ただ、早く行かないとという事を考えていたことだけは覚えている
いつの間にか僕は宮寺くんたちのいる結界の中にいた
「森先?宝玉を手に入れたのか?」
「ううん、宝玉は貰ってない」
僕は槍を構えて言った
「でも、僕は僕の力でみんなを助ける! 足手まといのまま終わらないもんっ!」
「やめろっ!死ぬ気かっ!」
宮寺君の叫びも僕は気にしなかった
ただ、みんなの役に立ちたくてひたすら敵に攻撃し続けた…

SIDE宮寺

「あんの馬鹿…」
俺は小声でつぶやき森先の援護に向かった
「落ちろっ!雑魚共がっ!」
後から下野と林も続き俺たちは一気に攻勢を強めた
だが、何故か一向に減らない魔物の前についに…森先の槍が折れた
「うわっ!?槍がっ!」
無防備になった森先に魔物の刃(やいば)が迫る
「させるかっ!」
素早く前に躍り出たものの鍔迫り合いになり俺も無防備になってしまった
「ぬぅぅっ…」
「宮寺っ!後ろっ!」
林の声に振り向いたときにはもう遅かった
鍔迫り合いで身動きの取れなくなった俺の後ろから別の敵が剣を振り上げていたのだ
「まだだっ!」