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小渕茉莉絵
小渕茉莉絵
novelistID. 40515
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最後に笑うのは誰だ―6

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「あの日の土屋家は、旦那様にお子様、しかも男児の流星様が生まれたことで浮足立っててね。恵知様もホッとされたご様子で、毎日のように一族の食事が行われていたわ。」
「聞いています。確か流せ……副社長は、生まれてすぐの属魔法の検査でも、一族トップクラスだったとか。」
「そうよ。そんな光が一族中に広がっていていた。でも、光のそばに必ず闇がある。それが……英よ。妾の子が次期当主の流星様と同じ日に生まれる……私も詳しくは知らないけれど、ある日、それが恵知様の、お耳に入った……」


『忌々しい子供……!すぐにでも殺してしまえばいいのに!』
『やめてくれないか……皆が見ている。』
『貴方の責任でしょう!流星坊ちゃまたちには、記憶隠蔽をすればいいだけのこと……それより、土屋でもない下衆な女の子供を作るなんて!葵様!』
『悪かった……私はどうかしていたんだよ、美知さん……だから、殺すのだけは勘弁を……』
『汚れる!やはり、お父様が……!』
『まあ、お待ちになって。』


「恵知様は、英を殺そうとした美知様を止めた。理由は分からないけれど、英と妾の命を許した。追放はされたけれどね。それが、今になって帰ってきてる……何か、裏がありそうね。」

「……健太郎も、かかわっているな。」
「え?」
「美知叔母様が、誰かのために何かすると思うか?失礼だけどな。何かしらに関わっているに決まっているだろう。大丈夫、お前は俺が守るからさ。」
「流星……」

抱きしめられた流星の肩越しに、月が見えた。満月だ。狼男が、変わる月。妖しい月に見られながら、最愛の人に抱きしめられる。
このまま、時が止まればいいのに―――朱音は、そう思わずにいられなかった。