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しっぽ物語 11.豚飼い王子

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「駄目だな。早速手が回ってやがる。代わりに、明日病院で開かれる慰問を取材して来いとさ。ホテルのオーナーどのが、自分の息子がやってる病院で貰い泣きしてる様子なんて、誰が見たがる?」
「見たがらないね」
「だろう。仕方ないから、また違うところに売り込むさ。さあ、昼飯が出来るまでに、面白いほうの取材を終わらせよう。名前と略歴を」
「O。24歳。前科一犯」
「罪状は賭博法違反?」
「いや、18の時に偽造小切手を換金し損ねて。2年間州立刑務所に」
「州立刑務所? あそこは凶悪犯罪者ご用達だろう。たかだが小切手偽造で」
「色々ね。ゴタゴタが重なって」
「それで、2年で出てきたと」
「上手く言い逃れした。今は無職、ホテルにも病院にも出入りできない」
「出生地はアトランティックシティでよかったかな」
「キャムデン。俺を産んだ時、お袋はまだラトガーズ大学に通ってた」
「頭良いんだな」
「良かったらあんなろくでなしに引っかかるもんか」
「Lと母親の成り行きは聞いてない?」
「お袋の友だちの友だちがLの本妻だってさ。それ以上は聞いても話さないし、奴も会いに来ない」
「一度も」
「一度も。けど、誰だっけ……その本妻の兄貴は、わりとしょっちゅうね。半年に一度くらいは」
「G」
「ああそう、そういう名前。養育費払えってね。お袋が何回か電話して、それを宥めに。寝てたんじゃないかな」
「え」
「Gとお袋」
「見たのか」
「流石に覗いちゃいないけど、あるじゃないか、そういう雰囲気」
「そういうのな」
「俺が学校行ってる間に来てたみたいで、直接顔は合わさなかったけど」
「Lの女性関係は確かに派手だが、まだ想定の範疇だ。だが、お前が言ってたとおり、Gのほうは隠れてとんでもなく乱脈なことをやってるみたいだな。Bの件、本当なのか」
「父親はGだよ。奥さんが、お袋に打ち明けた」
「Lとお袋さんが付き合ってたこと、知らなかったのか?」
「ああ。お袋の腹が膨らんできてバレて、向こうから絶縁状突き出してきたってさ」
「そりゃあ、そうなるだろうな」
「俺がこれだけ態度でかいのは、お袋の血筋なんだ。諦めてくれ」
「恐ろしきもの、汝の名は女なり、か」
「本当に。絶縁した女の兄貴まで手を出そうとしないよ、普通。とんだ淫乱」
「ま、疑わしきは罰せずだ」
「別に罰しようなんて気はないけど」