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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

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 家族が増えて、それまで住んでいた社宅が手狭になった。その頃の新聞広告には、建て売り住宅やマンションの売り物件の情報が溢れていた。毎日私は目を皿のようにして広告をチェックしていった。そして計算した。私たちに買えるかどうかを……。その頃の私たちにはまだ大した貯金もなかったし、徹さんは家を買うことには反対していた。当然と言えば当然のことだ。一旦買えば最低でも二十年以上のローンを組むことになるのだから、徹さんが踏み出せない気持ちも分かる。しかし同時にマイホームは私の夢でもあった。何としても手に入れたかった。
 それからの私は家計簿を付け、極力無駄遣いをしないように努め、目標額を決めて貯金に励んだ。
 長男が十ヵ月になる頃、新聞広告で見た某会社のワープロ講座を受講し、ワープロ検定を受けに行った。徹さんは、私が外に働きに出ることには反対していたから、合格したら在宅の仕事をしようと思ってのことで、少しでも家のローンの足しにしようと考えていた。
 三級試験は難なく合格。受講先から仕事先が紹介してもらえるという話だったので、私はすぐに連絡を取った。その会社から教えられたリストには確かに数社の名前が上がってはいたけれど、どれも自宅からは距離的にかなり遠かった。それでも一応電話だけはしてみたが、「今のところは募集してない」と言う返事ばかりだった。話が違うじゃないか……と思ったが、こうなったら仕方がない。私は自分で電話帳を捲って探すことにした。しかしそう簡単には見つからなかった。