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　家に帰ってから、考えた末にもう一度徹さんに相談した。そして「どうしてもやってみたい」と頼んでみた。するとやっとのことで、家事や育児を疎かにしない程度なら……という条件付きで了解を貰った。私は早速大木さんや小坂さんにそれを知らせ、サンプルの準備に取り掛かった。
　慣れない内は大木さんが試着会に同行してくれた。そしてその試着会の時は、小坂さんが自宅で二男の面倒を見てくれた。
　少しずつ仕事にも慣れて来ると、私は一人で仕事に行くようになった。人前でしゃべることなど、それまでの人生では一度もなかったことだけど、一旦コツを掴むと、それはそれなりに楽しいことだと知ったし、知らない人と知り合いになる。それも嬉しい刺激だった。
　そうこうする内にお客さんの数も増えていき、次第に忙しくなった。
　最初の頃こそ二男の世話をしてくれていた小坂さんも、自分のお客さんが増えてきて忙しくなると、そうもいかなくなってきた。
　私は二男を連れてのお仕事になった。車の助手席にチャイルドシートを付けて、そこに二男を座らせ、後ろにスーツケースを置いて、横浜辺りまででも行くようになった。時間も、自分の都合のいい時間というわけにはいかなくなっていった。
お客さんの希望の時間にある程度は合わせなくてはならなくなり、フルタイムの仕事と変わりない位に家を空ける時間が増えていった。