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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

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 新築の家での初めての偏頭痛は、結局三日続いた。幸い日曜を挟んでいたので、日曜だけは徹さんが子供たちの面倒をみてくれた。私は何も食べさせては貰えず、放置されていた。たまたまそばに来た長男に言って、お腹が空いてることを徹さんに伝えて貰ったら、徹さんがりんごを剥いて持って来てくれた。いくら頭痛がひどくてもやっぱりお腹は空くのであった。
 偏頭痛が回復して数日経ったある日のこと、私は思いもかけない事態に気が付いた。妊娠していたのだ。まるっきり予定外だった。結婚当初から私は、子供は三人で十分だと考えていたし、長男が幼稚園に上がったらパートの仕事にでも行こうと考えていた。在宅ワークの収入は、最初の話とは違って月に三万円にもならないことがしょっちゅうだったから、予定が大幅に狂ってしまった。この上四人目なんて……とても考えられなかった。子供には可哀想だが、私としては産みたくなかった。
 しかし妊娠の事実を告げると、徹さんはせっかく授かった命なのだから産むようにと言った。両方の実家からも同じように言われ、仕方なく私は産むことを決めた。しかし問題が残った。私が入院している間、次女と長男をどうするかだ。
 かつて私がバセドウ氏病で入院した時と同じ状況がやって来た。
 次男の出産予定日の四月十五日は、徹さんのお母さんは田んぼが忙しい時期で来れないとのことだった。菜緒は小学校六年生に上がる時で、学校を休ませるわけにはいかなかったし、幼稚園に通う次女と、まだやっと三歳になろうかという長男の二人を置いて入院などできない。徹さんは朝が早くて帰りが遅いので、送り迎えはできない。私は病院で先生に必死でお願いした。二人を連れて入院させて欲しいと……しかし答えはあの時と同じだ。子供たち二人を一時的に預かってくれる、孤児院のような施設があるから、そこに預けるようにと勧められた。次女は人見知りが激しくて、とてもそんな所へなど預けられない。ましてまだやっと三歳の長男を他人に預けるなんて……。
 菜緒を里子に出したあの時と、状況は何ら変わらない。私に母親がいれば……。 
 私は病院の受付の外の廊下で、ずうーっと独りで泣いた。二人が可哀想で、そうするしかないのか……と思うと、悲しくて切なくて、泣いても泣いても涙が止まらなかった。