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CROSS 第5話 『忘れてはならぬ戦い』

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「山口さん!!!」

 今度は、背後から声がした。山口が転がって振りかえると、背中に異次元間通信機を背負ったウィルがいた。
「ウィルです! 今は山口さんが中隊長です!」
「……おまえのところのも死んだのかよ……」
「ええ、狙撃されて……」
「……じゃあ、そっちの中隊の連中を集めてきてくれ!」
「いえ! ここから、一旦退避せよとのことです!」
ウィルが背中の通信機を指さしながら言う。
「はぁ!? どういうことだよ!?」
「たった今、司令部から通信が入りまして、Z級のモビルスーツがこの防壁を破壊するらしく、ここから離れろとのことです!」
後方を見てみると、確かにそれらしきモビルスーツが、攻撃の構えで控えていた。右手にバズーカを所持しており、左手で後退するようにサインを送っていた。
「山口さん! この状況じゃあ、離れようにも離れられませんよ!」
山口の横で佐世保が言う。
「そういうことだウィル! この死角から出たとたん、蜂の巣だ! 今は攻撃するなと司令部に伝えろ!」
「とても無理です! この西側だけ、他のところよりも、任務遂行に遅れを取っているからだそうです!」
ウィルは必死になって言う。どうやら、どうしようもないことらしい。山口は、地面を見てから口を開いた。

「じゃあ、こう司令部に伝えろ! 今から穴を掘って身を守るから、オレの信号弾の合図まで待てと! 司令部にはヘーゲルがいるはずだ!」
「……伝えてみます!」
ウィルはすぐに背中の通信機で、司令部との連絡を取り始める。
「山口さん、どうやって穴を掘るんですか? うちの工兵のチームは全滅寸前なんですよ! スコップなんて私持ってませんよ!」
山口の横でまた佐世保が言う。
「……どうやってか? こうするしかないだろう!」
すると山口は、両手を使って穴を掘り始めた。佐世保は黙ってそれを見ていたが、
「いそいで穴を掘れ! 衝撃が来るぞ!」
山口のその言葉に、兵士たちはすぐに必死になって掘り始めた。佐世保は手が汚れるのが嫌らしく、どこかにスコップを探しに行った。死んだ工兵から調達するつもりなのだろう。だが、山口は佐世保がいなくなったことに気づかなかった……。
「山口さん! 5分待つそうです! ヘーゲルさんがかけあってくれたみたいです」
通信を終えたらしいウィルがほっとした表情で言う。
「よし、全員に伝えろ! いそいで穴を掘れと!」
「了解です!」

 ウィルが伝えに出かけたとき、ガリアが地獄から這い上がってきたかのような形相で山口のもとへ、ほふく前進でやって来た。
「……山口さん。これだけしか残ってませんでした……」
生気を失ったような小声でガリアが言う。ガリアの後ろには数人の兵士がいるだけだった……。
「もっとCROSSの隊員がいればな……」
「山口さん、しょうがないですよ。ほとんどがまだ訓練学校ですから……」