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出会いは衝撃的に(前半)

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誕生日




 一週間が過ぎて年齢が増え、浅野は土曜日の乗務を早めに切り上げた。車から出て社屋に入るとき、委託されてみんなの車を洗っている男たちの一人が笑顔で浅野に訊いた。
「今日はどうだった?暇だっただろう」
「今日もゴーストタウンだったね。やっと客が見えたと思ったら、猛スピードの足立ナンバーのタクシーに追い越されてさ、前に突っ込まれて客を横取りされたよ」
「また特攻隊にやられたか」
「ああいうのはいつか大事故を起こして死ぬんだ。七百十円のためにね」
「じゃあ、いつも香典袋を持ってたほうがいいね」
「もらうほうにはなりたくないね。さて、寂しく納金をしてくるか」
浅野は段数の多い階段を登って事務所に行き、カウンターに置いてあるアルコールチェックの機械に息を吹き込んだあと、運行記録表に多くの数字を記入した。売上が少なかったので、納金はあっさりと済んだ。
「浅野君が納金したら、平均営収が随分下がったよ。今回はこの前の日曜日の半分もなかったからなぁ」
「あれはまぐれ中のまぐれですよ。洗車をしてきます」