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出会いは衝撃的に(前半)

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そのあと、美絵は浅野の右手を握り、建物の奥の方へ彼を引いて行った。浅野は握られたのが左手ではなかったことを幸運だと思った。左手の感覚が半ば麻痺しているからだった。それは、事故のあとからのことだった。
「ここは少し傾斜があるので、気をつけてくださいね」
「はい。気を付けます」
「じゃあ、この椅子に腰掛けてください。大丈夫ですか?」
 浅野は丸い椅子に座らされた。背後に治療の機械を背負う形になった。
「すみません。ありがとうございます」
治療室には幅の狭いベッドがいくつもあり、その上に横たわって老人の患者たちが肩や腰、足などのマッサージをして貰っていた。壁際には電気を使って治療をするための機械らしいものが、いろいろと置かれている。机には多くの書類や書籍があり、ファイルやカルテらしきものも多く、パソコンも目立っていた。患者と理学療法師がそれぞれ十人ほどマッサージをしたりされたりしている。世間話をしながらの、和気あいあいとした雰囲気である。
「浅野さんは先に肩と腰と、マイクロ波で両方温めましょうね」