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帯に短し、襷に流し

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うそつき



 なぜか「うそつき」と罵倒されているお襦袢。挙句の果てに、「大うそつき」とか呼ばれ、人で言うなら、これぞ、「いじめ」の構造ではないか!?
 と、無駄に憤っているのだが。

 所謂、うそつき襦袢というものは、お袖と衿のみが長襦袢仕様で、身頃は、晒で出来ている。長さは、長襦袢の半分で、下は、裾除けという巻きスカート様のものを巻く。
 人によっては、身頃の長さが、長襦袢の半分だから。と、いう人もあるが、それも間違いではない。間違いではないが、理由はそれだけではない。つまり、身頃は肌襦袢で、お袖と衿が長襦袢になる。肌襦袢と長襦袢の違いはどこにあるかというと、それはまた改めるとして。
 長襦袢ではなく、肌襦袢でもない。逆に言うなら、長襦袢であり、肌襦袢でもある。
 つまりは、どっちでもあり、どっちでもないという意味から、半襦袢という、立派な名前がある。
 本来は、短いもののほうを主に着用していたから、それに比べて長いお襦袢、という意味で、「長襦袢」が出来たのだ。
 好きで嘘を吐いているわけではなく、人が勝手に、嘘を吐かせておきながら、「嘘吐き」「嘘吐き」とは、いかなることか。なぜ、「嘘吐き」などと罵倒されるようになったのか、本当に気の毒な襦袢である。
 お袖のみのお襦袢を「嘘吐き袖」とも言うらしいが、それとて、「袖襦袢」という立派な名前がある。
 着物好きは、案外口が悪いものだ。

 さて。
 半襦袢というのは、大変便利なもので、まず、汗をかいても丸洗いが出来る。お袖を取って、半襟を取れば、そのまま洗濯ネットへ突っ込んで、洗濯機へ投入。
 普通のお洗濯物と同じように、ガラガラ洗って問題ない。
 人によっては、正装は、長襦袢を着なければならない。と、仰るが、じゃあ、アフタヌーンドレスやイブニングドレスをお召しになる方は、下着まで絹ですか? そんなことはないと思うのですよ。
 もちろん。
 気合の入ったドレスや勝負服をお召しになるときは、下着も勝負下着にして悪いことはないのです。が、それに限定してものを言うのはどうかと思うのです。
 下着ぐらい、好きに着てもいいんじゃないの?
 洋服の下着と和服の下着は、定義が少し異なる。それも、また次に譲るとして。
 手の叶う人は、半襦袢で、お袖をとっかえ引返して着用されるのが、エコであり、お財布にも優しい着方であるし、昔ながらの手仕事でもある。
 最近は、自分で何でもかんでもしてしまう方が激減して、そういう小さな仕事も仕立て屋に持ち込まれる。
 当然。それも、お仕事ですから、ありがたく頂戴しますし、そういう小さな仕事は、実は割が良かったりするので、お小遣いが増えることになる。
 ただ、面倒くさいのがね。

 半襦袢の地位確立を!



 2014.9.22 暑さ寒さも彼岸まで。

作品名:帯に短し、襷に流し 作家名:紅絹