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プロローグ


　街には奇妙な噂が流れていた。噂なんて正直そんなのあてになんないし、信じる気もないけれど、でもこれは例外だった。その噂は何故かこの街で二十年も流れ続けているからだ。
「ほんとに行くの？」
　不安まるだしのサヨの顔はとても愛しく思える。でもこればかりは見逃せないんだ。許してほしい。
「ユイちゃんのそういうところ好きだよ……。」
　今なんて……!?
「でも友達として放っておけないの。だから……。」
　……友達……。だよね。そうだよね。この気持ちは許されないものだもんね。仕方ないよね。
「私も……最後までついていきたい……!!」
　サヨ……。ありがとう。
「……わかった。」
　そう言うと、サヨはたまらない笑顔を見せた。
　私達は目的地へと足を向けた。二度と帰れないかもしれないと知りながら……。