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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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クラインガルテンに陽は落ちて

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「この前教えていただいたとおり、今日は予め水を汲んでおきました」
「ちょっと手を洗ったり、土を落としたりするのに便利なんですよ」
「あとは腰を痛めないように気をつけないと」男性は腰に手をやってはにかんだ。
「フフ、そうですね。あまり無理をなさらないで」
「お互いに若くないですからね」
「まあ、『お互いに』は余計ですよ」
「あ、これは失礼、ハハハ」
 失礼な人だと思いながら、こんなたわいもない会話が楽しかった。
 同じ年代の男性と話す機会など、夫以外には無くなってしまった私にとって、これは新鮮な出来事だった。キャップの男性は腕時計にチラッと目をやると、申し訳なさそうにこう言った。
「申し遅れました、柚木といいます。作業中に失礼しました」
 私もすかさずこう答えた。
「宮森です。宮森由樹といいます。こちらこそお引止めしちゃって」
軽く会釈をしてから自分の区画に戻って行く柚木の背中を見ながら、私は自分でも不思議なくらいフワフワした気分になった。
 その後も毎週末私はクラインガルテンに通った。柚木と会えるとたわいもないお喋りをし、柚木がいないと「今日はどうしたのかしら」とまるで少女のように心配した。いや、心配というよりは寂しさを感じるようになっていた。
 私はこのクラインガルテンに来る楽しみが、確実にもうひとつ増えたことを実感していた。