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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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クラインガルテンに陽は落ちて

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 4月に入って最初の週末が来た。私は9時頃ようやくベッドから抜け出し身支度を始めた。窓から外を眺めてみると、クラインガルテンにはすでにちらほらと人が見える。いつものように自転車を漕いで自分の区画に進んだ。今日は枯れた根や葉を掃除し、苦土石灰を撒いて土を中和させる作業だ。暑くもなく寒くもない気候に恵まれ私の作業ははかどった。毎日忙しく働いている我が身をいたわるために今日はお昼前に終わりにしようと思った。
 このクラインガルテンには全部で12の区画があり、簡易水道が2ヶ所設けられている。作物への水遣りのほか、作業が終わるとこの水道で手や道具を洗うのだ。私は小さな鍬を持って水道に向かった。するとキャップを被った一人の男性とかち合った。
「あ、お先にどうぞ」
「いえ、僕は急ぎませんので、どうぞお先に」
 私は礼を言って先に水道を使わせてもらうことにした。その男性は腰に手を当ててしかめっ面をしている。
「腰を痛めましたか?」
「ええ、お恥ずかしいことです。今日が初めてでしてね、張り切りすぎちゃいました」
「あら、お気をつけてくださいね。そうそう、水道は混むことがあるので最初にバケツに水を汲んでおくと便利ですよ」と、私はアドバイスした。
「ああ、それは良いことを聞きました。次からはそうしましょう。あ痛たた」
「大丈夫ですか?どうぞお大事に」
「ありがとうございます。またいろいろ教えてください」
 私は会釈をしながら水道を交代した。
 これが柚木(ゆずき)大輔との出会いだった。