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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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クラインガルテンに陽は落ちて

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第6章 Eメール



梅雨に入ると週末ごとに雨に祟られた。私は無人のクラインガルテンを眺めながら遅めの朝食を取った。大好きなダージリンを楽しみながら柚木のことを考えていた。「パンクの日以来会っていないなあ」などと思いながら気分を変えるために音楽を流した。それほど多くはないコレクションの中から選んだのが、最近聴き直しているジャニス・イアンだ。私が中学生のときヒットした”Will you dance?”が流れ始めると、西側の窓の景色をぼんやりと眺めた。
「私どうかしてる。なぜこんなに柚木のことばかり考えているのだろう」
もしかして恋?私はこういう結論になるのが怖くて音楽に集中した。
 昼過ぎになると雨は止み、薄日が差してきた。天気予報によると今日の午後は梅雨の中休みのようだ。私は間隙を縫って洗濯をし、ベランダに干した。クラインガルテンを眺めてみると、2、3人の人が見えた。でもキャップ姿の柚木らしき人はいない。
 私はもう一度ダージリンの用意をしながらパソコンのスイッチを入れた。お気に入りの園芸サイトをクリックしようとしたところ、一通のメールが届いていることに気づき、受信ボックスを開いた。メールはサンフランシスコの夫からだった。私は夫からのメールを読み終え、思わず大きなため息をついてしまった。
 メールの内容は「あと1年で仕事の目処がつき、日本に帰れそうだ。最後の1年をおまえとサンフランシスコで過ごしたい。すぐにでもこちらに来て欲しい」というものだった。
 私は仕事のこと、家のこと、クラインガルテンのこと、そして柚木のことが頭を駆け巡った。ダイニングキッチンには午後のやわらかい陽射しが差し込んでいる。大好きなダージリンとお気に入りの音楽。私はこんなアンニュイな午後のひと時が好きだった。それが一通のEメールによって一気に現実に引き戻されたのだ。
 一年前、自分の仕事を理由に私は夫について行かなかったし、夫もそれを望まなかった。ただどうしても私が働かないと生活に困るわけではない。1年くらいならサンフランシスコで暮らすのも悪くはないとも思った。私は言葉を選びながら夫のメールに返信をした。