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錆色ノスタルジア

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序『無題、あるいは序文』




 この世界は、俺が思っているより懐が広いモノだったらしい。
 魔法は実在するし、超能力も存在する。幽霊は漂い、妖精は悪戯し、宇宙人はアブダクションする。
 それらは俺たちのような『普通の人間』が考えているような遠い世界の存在ではない。すぐ近く、アパートの壁や天上一枚隔てたところに存在していると言っても過言ではないのだ。
 この世界は良く分からない事だらけなのは君も知っているだろう。だから、そんなワケの分からないものが身近にあってもなんら不思議じゃないのだ。
 なに? そんなもの生まれてこの方見てないだって? それは君の運が悪いのか、はたまた運がものすごく良いのかのどちらかか、これを読んでいる君がそれら不可思議な存在していないという『平行世界の住民』だからなのかもしれない。
 悪魔の証明のようで悪いが、この世界に平行世界が存在しないと誰が知っている? 無いと断言できる物証がどこに存在する?
 そもそも、存在しないと言い切れる人間はありえない。もし君の周りに「そんなのありえない」と断言する人間がいるのなら、そいつは稀代の天才か、言い方は悪いがホラ吹きだ。そのくらい、悪魔の証明をクリアするというのは難しい事なのだ。
 極論を言えば、君の本棚に納まっている本やデッキに納まっているDVDやブルーレイディスクに記された物語は、それぞれが一つの平行世界を物語っているとも言える。それが世界を形作っているのなら、君はそれを通して平行世界を覗き見ることの出来るのだ。
 ――地球が、いや宇宙が生まれた理由や原理だって、良く分かっていないのだ。ビッグバンでどうのこうの? それに何の証拠がある。本当は一秒前に神様が思いついて世界が生まれたのかもしれないし、もしかしたらこの世界は胡蝶の夢なのかもしれない。君は世界が生まれた理由や、その原理を知っているのか? いや、分かるはずが無いだろう。それこそ神様の領域、――真理なのだ。
 おっと、気を悪くしないでくれ、そんなもの、俺にも分からないのだ。というか、分かる奴がいるとしたら気を付けた方がいいだろう。そいつは神様か、それに順ずる何かだ。
 さて、さて。序文が長くなった。
 この物語は、この俺、大村孝造を主人公にした群像劇だ。或る地方都市、学生を多く有する学園都市、明里市を舞台に我ら小鳥遊荘の住民が不思議な出来事に遭遇する、というのが大雑把なあらすじである。
 そろそろ本題に移ろうか。
 では、物語の中でまた会おう。


序『無題、あるいは序文』――了
作品名:錆色ノスタルジア 作家名:最中の中