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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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おしゃべりな男

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こんなやり取りをこの2ヶ月間で5、6回行っている。
不本意な異動ではあったが、
翔太にとって経理部で有里と話す機会を持つようになったことが唯一の救いであった。
内線電話で済むことも社内メールで済むことも、
わざわざ経理部まで行って有里と話すことが楽しみの一つになっていた。
そしてその楽しみは、次第に有里への好意に変わっていった。

ある日の金曜日、翔太は上司の課長から飲みに誘われた。
翔太は人付き合いもよく、課長からも一目置かれていた。
翔太もこの課長が好きで、何でも話せる良い関係を築いていた。

酒が入ると翔太のおしゃべり癖に拍車がかかった。
ふと自分ばかりが喋っていることに気づき、翔太はあわてて課長にも話を振った。

課長は翔太が今回の異動を不本意に思っていることを知っていた。
翔太もその件で今日は誘ってもらったのだとうすうす感じていた。
ただ、不満はあったものの、直接営業2部の悪口を言うほど子供ではなかった。

有里の話はしなかった。
まだそこまでの段階ではないし、上司に話す類のことでもないと思ったからだ。
会社の愚痴などを話しながら翔太たちは約2時間を居酒屋で過ごした。

「じゃあ、今日は俺が」
「あ、すみません。ご馳走様です」

翔太は上司に礼を言うと、二人は反対方向に分かれてそれぞれの改札に向かった。
翔太は何となく飲み足りないのと、金曜日という開放感も手伝って、
目的もなくガード下の暗い道に進んだ。
人通りの少ないそのガード下にポツリと小さな明かりが見えた。
見るとそこには初老の女性が「願いを叶える占い師」の看板を掲げて座っていた。
占いなど全く興味のない翔太ではあったが、
なぜかひきつけられるようにフラフラとその占い師に近づいていった。
作品名:おしゃべりな男 作家名:タマ与太郎