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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その5】完

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◆第15章 時よ永遠に◆


 恐れながらも飛び掛ってゆく私を、鋭く睨む赤い目のラシャ。そのラシャからは黒い光と白い光が混ざり合っている。

「やぁッ!」
 両手に握った白い剣を、ラシャの肩目掛けて振り上げる。ラシャは、自らの体を覆っていた白い羽根の翼を、私に向かいゆっくりと広げた。

【何をしておるのじゃ!術であやつを殺してしまえ!】
 しゃがれた声が叫ぶと同時に、ラシャは翼をゆっくりと羽ばたかせた。
 そして、悲しい歌を響かせる。

 その瞬間私はラシャの肩を切るどころか、腕を引いてしまった。
【殺す……?ラシャが私を…?私がラシャを……?】
 私はラシャの翼を切れなかった。そして。ゆっくりと海へと落ちていく中で、[白い悪魔]を見上げる。彼女は、微かに笑みを浮かべている……

【咲夜!】
 そのまま海へと落ちていく私をニズは拾い上げる。そして再びラシャの方へと飛んでゆく。私は自分の本体であったラシャを切ることを躊躇(ためら)っていた。

「おい!咲夜!どうしたんだよ!まさかヤられちまったんじゃねぇだろな!」
「ん……ごめん…大丈夫」
【咲夜!ラシャと共鳴させて!彼女を救えるのはあなただけだ!そして咲夜を救えるのは彼女だけ……咲夜!】

 私はその言葉で目が覚めた。
 そしてラシャを見据え、目を瞑る。ラシャと同じ深層へと、意識を落としていく。

《ラシャ……怖がらないで…飲み込まれないで……あなたは私、私はあなただよ……》

 すると声が返ってきた。