小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

なにサマ?オレ様☆ 司佐さまッ!

INDEX|32ページ/58ページ|

次のページ前のページ
 

 司佐は深いため息をつく。
 しばらくその場で物思いに耽っていると、またもドアがノックされた。
「どうぞ」
 そう言うと、昭人が入ってきた。
「なんだ、昭人か。まだ寝てなかったのか?」
「うん。それより、緊急の用事だ。旦那様が帰られた」
「なんだって?」
 昭人の言葉に、司佐は驚いて立ち上がる。
「書斎でお待ちだそうだから、すぐに向かってくれ」
「わかった」
 司佐は軽くガウンを羽織ると、鍵の掛かった棚の中から、クシャクシャに折り目のついたコトハとのDNA鑑定書を取り出す。一度捨てかかり、あれ以来見てもいないが、父親と直接対決になるかもしれない。
 司佐は急いで書斎へと向かっていった。

「失礼します」
 そう言って書斎に入ると、そこには数か月ぶりに見る父親の姿がある。
「おお、司佐。しばらくぶりだな」
 父親は満面の笑みで、司佐の姿を見つめた。
「急だね、父さん」
「ああ。おまえを驚かせたくてね。久々に一ヶ月くらい、こちらでゆっくり出来そうだよ」
 それを聞いて、司佐は驚いた。
 思えば両親と最後に会ったのは、今年の正月だったと記憶している。それ以前も、一週間以上ここにいることはなかった。
「本当? それは本当に久しぶりだね。母さんは?」
「母さんは、ロンドンに寄ってから帰るそうだ」
「また買い物?」
「そう言うな。すぐに帰って来るさ」
 司佐は苦笑した。それというのも、司佐の母親は、海外で大量の買い物をするのが趣味だ。前に何度も、そのせいで父親と帰国の時間がずれたりしているので、今回もそうだと思った。
「ところで、軽井沢から来たコトハはうまくやっているか?」
 突然、父親から発せられたコトハという名前に、司佐は凍りついた。
「なんだ。うまくいってないのか?」
「……一介のメイドを、父さんが目をかけることがあるの? どうして本宅勤務なんかに……」
 静かにそう言った司佐に、父親は微笑む。
「あの子はあの年で、唯一肉親である祖母を亡くしたばかりだったからな。忠誠心もあるし、代々うちに仕えてきた家柄の娘として評価してあげたかったんだ。おまえとも年が近いし、それに可愛いしな」
 父親の言葉に、司佐は口を曲げる。
 未だプレイボーイとして名高い父親は、浮気というものは聞かないものの、若くて美しい女性に今でも目がない。
「あのなあ! てめえの隠し子、堂々と連れてくるんじゃねえよ!」
 突然、キレたように司佐が怒鳴った。
「司佐……?」
「そういうつもりなら、俺に一言話してくれてもいいだろ。今更、父さんに何があったって、受け止められるくらい大人にはなってるよ!」
 険しい顔の司佐を前に、父親は眉を顰める。
「待て、司佐。私はおまえが何を言っているのか……」
「言い逃れするつもり?」
 司佐は勢い良く、机の上に一枚の写真を置く。それは、この書斎で隠すように置いてあった、父親とコトハの母親の写真であった。