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このSNSでのこと

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このSNSでのこと


 ふと、昔の作品に目をやる時がある。
 特に、このSNSにて頂いたコメントを読み返すことが多い。
 ある作品のコメントを覗く。
 すると、退会なされたユーザーさんの書き込みが上の方に現われる。
 この方は今、どこで投稿なされているのだろうか。そう思いながら、次のコメントを読んでいく。
 ふと、一言、「このユーザーは退会しました」と表示される。
 あれ、おかしいな。さっきまで退会ユーザーのコメントが表示されていたのに……そう思いながら、コメント欄の一番上に戻る。
 すると、今度はその退会ユーザー様のコメントも消えていた。
『あれ、あれ、おかしいな……』
 そう思いながら、またその頁を開きなおす。
 すると、今度はそのユーザーさんのコメントがしっかりと再び蘇る。
 ああ、なるほど。これはこのSNSの不具合の一つだな。そう思い付く。
 どうやら退会なされたユーザー様の書き込みは本来、「このユーザーは退会しました」と出るはずなのだが、一番上の頁に最初に表示されるコメントだけは残ってしまうという不具合があるようだ。
 ふと、『このコメント、まるで亡霊みたいだな。亡霊コメント。まるでホラー小説みたいだ』そう思う。
 そして思い至る。ああ、これが退会するということなんだ。
 本来は消えて読めなくなるコメント。だけれど、このコメントだけはいつまでも残り続けるのだ。
 そう思うと、この亡霊コメントが異様に物悲しく思えてくる。
 きっとこの先消えることはないだろう。何故なら、この作品は既に数多ある作品の中に沈んでしまった作品であるからだ。
 だから、これから先この作品にコメントを頂くことはないだろう。
 別にこの作品が再び上がってくることを願っているわけではない。ただ、この作品に残された読者様の想いが、僕にはとても大事なモノへと思えただけの話だ。それが目に見えるのが、コメントであった。
 消えたコメントが心痛い。残っているコメントに寂しさを感じる。数多あるこのSNSの不具合の中で、これほど僕の心を削ったモノはなかった。
 この亡霊コメントを、供養してあげるべきだろうか。何度も間違って押してしまった削除ボタンが、目の前にちらつく。
作品名:このSNSでのこと 作家名:最中の中