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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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十二の四  【亮】



【亮】、「京」に「人」を組み合わせた形だとか。
「京」はアーチ形の城門で、その前で儀礼が行われた。
つまり【亮】は祈ることから生まれたそうな。

また【亮】に似た字に「涼」、「諒」がある。【亮】と同じく(まこと、あきらか、たすける)の意味がある。

こんな格式高い【亮】、明治時代にこの字を名前にした女性がいた。
陸奥亮子(むつりょうこ)という。
今も写真が残るが、オードリー・ヘプバーンのような清楚な雰囲気がある。

亮子は没落士族の長女だった。
娘時代、東京新橋で一、二を争う美貌の名妓と名を馳せる。
だが男嫌いで、身持ちも堅い、そんな評判だったとか。
そんな亮子、十七歳の時に陸奥宗光の後妻に入る。

その後、宗光は政府転覆運動に荷担した疑いで山形監獄に収監された。その獄中から亮子、つまり妻への想いを伝えた。

離合は常理といえども
相思の情に何ぞ極まりあらん
南北ふたつながらに地を異にするも
夫婦この心は同じ

きっと宗光は夫婦の絆を確かめたかったのだろう。
その後出獄し、ヨーロッパへと留学した。そして帰国し、政府に仕える。
これを機にして、亮子は社交界へデビュー。
その洗練された面立ちや振る舞いから、たちまち戸田極子とともに「鹿鳴館の華」と呼ばれるようになった。

その後、駐米公使となった宗光とともに渡米する。
そして今度は……「ワシントン社交界の華」……と称されるようになった。

亮子、たった四十四年の生涯だったが、きっと波瀾万丈だっただろう。

しかし、「新橋花柳界の美貌の名妓」→「鹿鳴館の華」→「ワシントン社交界の華」と華麗な花を咲かせたのだった。