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 その頃、
 漆黒の宇宙の中を人間大の青く輝く球体が一直線に進んでいた。
 しかしその球体の中には実際1人の少年が居て一枚の写真を見て笑っていた。
 半分以上は焼け焦げているが自分の家族の部分だけは残っていた。
『もうすぐ到着するぞ、お前の故郷だ』
 どこからともなく声が聞える、すると左右上下どこを見ても青く輝く光の壁の目の前の部分が消えて青く輝く惑星が映った。
「二年か、長かったぜ……」
 少年が物思いにふける、
『そうだな、これでようやく家族に会えるな』
「……」
 すると少年は目を泳がせた。
『どうした?』
「いや、何でもない……」
『何でもないと言う顔はしていないぞ、言ってみろ』
「……参ったな、本当にお前には隠し事ができないな」
 少年は自分の心の内を話す、
『……それで本当に良いのか?』
「ああ、後悔はしない、正直どの面下げて謝ればいいのか分からないからな」
『地球人の心理は複雑だと言うのが分かった。俺はお前が良ければそれで良いが』
「悪いな相棒」
『気にするな、それより大気圏に突入する』
 青い球体はそのまま地球へ降りて行った。

 それから数日、
「まずいなぁ…… 暗くなっちゃった」
 誰もいない薄暗くなった道を私は息を切らせながら走っていた。
 私は図書室で勉強していたのだが、いつも乗って帰るバスに乗り遅れてしまい仕方なく時間を潰して別のバスで帰ってきたのだった。
 いつもならこの時間は家で勉強しているかテレビを見ているはずだった。
 それがたった1時間違うだけで帰宅路がこんなに違うとは思わなかった。
「……早く帰ろう」
 暗いのは好きじゃない、私は早足で歩いていると……
『シュシュシュ……』
 突然私の耳に薄気味の悪い声が聞えてきた。いや、音って言った方が近いのかもしれない……
「何?」
 私は振り向くがそこには何もいない、気のせいかと思い振り返るとそこにはいつの間にか二メートルを超える、大男が立っていた。
「きゃっ?」 
 私は後ろに下がる、
 丸い鍔の黒いソフト帽、黒いコートを着ていて両腕はポケットに突っ込まれている顔は隠れて見えない、
「な、何よ?」
 男は何も答えなかった。
「何とか言いなさいよ、人を呼ぶわよ!」
 するとその時だ。男の顔が赤い小さな光を放った。
『……対象者ノ適合率ヲ計測、問題無シ』
「えっ?」
『捕獲スル』
 次の瞬間私は信じられない物を目にした。
 男の背中から先の鋭い蜘蛛の足みたいな爪が四本飛び出すと私に狙いを定めた。
「ヒッ……」
 私は立つ事すらできなくなりその場に腰を落とした。急いで逃げなければならないのに体が思うように動かない、両肩が震えて声も出せない、
「あっ、ああ……」
 鋭い爪の先端が私の目の前までやって来る、私は目を閉じた。