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 家を出て兄貴のお金でバスに乗り、降りた場所はいつも降りる桜星高校近くのバス乗り場だった。
 そしてそこから桜星学園とは反対方向に20分ほど歩くとやってきたのは20階建てのいかにも高級そうなマンションだった。
「ここが俺の家だ」
「はああっ?」
 私は開いた口が塞がらなかった。
 明らかに高校生が1人でこんな所に住める訳が無い、と言うか何度も言うけど戸籍上死んだ事になっている兄貴が借りれる訳が無い、
「アンタっ!」
 私は兄貴の胸倉をつかんだ。
「うおおっ?」
「どう言うつもりよ? アンタ一体どんな手品使ったのよ? まさかいけない事してるんじゃないでしょうねっ?」
「いけない事ってなんだよ…… とにかくギブギブギブ!」
「あら、貴方達」
 その時だった。
 マンションの扉が開くとそこには私服姿の里中先生が現れた。
「遅いから迎えに行こうと思ってたんだけど…… 要らなかったみたいね」
「さ、里中先生まで?」
「千鶴ちゃん」
 兄貴はまるで友達のように里中先生を呼んだ。
「そんな所に突っ立ってないで中に入りなさいな、お茶の準備が出来てるわよ」
 そう言って里中先生は部屋の中に入って行くと私達も後に続いてマンションの中に入って行った。
 エレベーターに乗って3階にやって来る、ここに兄貴達が住んでる部屋があると言う、
「俺が住んでるのはこの305号室、でも先に千鶴ちゃんの部屋がある301号室に寄ってくぜ」
「どうして?」
「ああ、お前と話がしたいんだってさ」
「私と?」
 里中先生はセイヴァ―・エージェントで兄貴の上司だと言う、兄貴が私を今日ここに連れて来たのは兄貴の家に案内すると同時に里中先生に頼まれたかららしい、
 
 私達は301号室にやって来た。
 日当たりの良い塵1つ落ちてない大きくて奇麗なリビング、ガラス張りのテーブルに人数分の紅茶が置かれた。
「どうぞ」
「ど、どうも……」
 私は緊張しながら紅茶を受け取った。
「早速本題に入って良いかしら?」
「はい、どうぞ」
 先生は一間置く、
「まず最初に言って置くわね妹さん、私はこの星の人間では無いの」
 メリル星人、ミーゼル・クランツ、
 それが里中先生の本当の名前だった。
「私はゼルベリオスの命令で、この地球を守る為に赴任してきたの…… そうね、300年位前からいるかしらね」
「そんなに昔から?」
「ええ、私の種族は地球人より寿命が長いから……」
 里中先生はクスリと笑った。
 しかし宇宙にはメリル星人より長寿の種族や地球人より短命な種族も居ると言う、
「地球には私以外にも地球外から来た人間達が滞在しているわ、勿論理由は様々だけど、確認されてるだけでも200種類以上、10万人以上の異星人達が居るわ」
「そんなに?」
 私は正直驚いた。
 すると兄貴が紅茶を啜りながら言って来た。
「驚くほどの事じゃねぇよ、あの桜星高校には30人弱の異星人が通ってるし、校長や職員にも異星人がいるんだぜ」
 そんな身近に異星人っていたのね、