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ぼくらのひみつきち

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9、 森3:発見 昼

森の中を進む俊平、姫乃。
俊平 「見つからないね。道…合ってるのか分からないけど。」
俊平、眩しそうに空を見上げる。
俊平 「虫、たくさん鳴いてるね。」
姫乃 「蝉。」
俊平 「夏休みだね…」
真っ青な空。白い雲。蝉の声。
ひたすら、歩いていく。前方に、少し視界のひらけた場所がある。
姫乃が何かを見つける。
姫乃 「あ…」
俊平 「あれ…」
立ち止まる俊平、姫乃。視線の先に、乗り捨てられたキャンピングカー。(屋根の上は映らない)
俊平 「あれだと思う?」
姫乃 「思う。」
俊平 「僕も、思うよ。正ちゃんみたいだなって、思う。」
姫乃 「ユメちゃん…」
車を見つめたまま呟く姫乃。俊平、決意を込めた目で頷く。
俊平 「行こう、姫乃。」
頷く姫乃。キャンピングカーに向け歩き出す兄妹。

 10、キャンピングカー:中 昼

キャンピングカーのドアを開け、中に入る兄妹。内部は放置されてからだいぶ経つようで、埃や土などで汚れている。
俊平 「これが、秘密基地…?」
姫乃 「埃…」
姫乃、埃臭さに口元を覆う。
俊平 「正ちゃん…?」
中を検める二人。
俊平、キャンピングカーの戸棚の上に、カードゲームのカードを見つける。
姫乃 「それ。」
俊平 「うん…正ちゃんの、お気に入りのカード。僕も、集めてた。」
姫乃 「じゃあ、ここが?」
俊平 「うん…」
俊平、浮かない顔。

11、回想3:家 秘密基地会議

俊平の部屋。四人がお菓子を囲んで秘密基地についての話し合いをしている。
正太 「秘密基地を造るとしたらさ、どんな所が俊ちゃんは良いと思う?」
俊平 「うーん…空き地の土管の中。」
夢子 「それ、ドラえもんだよー。ね、ヒメちゃん。」
姫乃 「お兄ちゃん、この辺に土管なんてないよ。」
ケラケラと笑いあう夢子と姫乃。少しむくれる俊平。
俊平 「じゃあ、ユメちゃんと姫乃はどこが良いと思うのさ。」
少しの間顔を見合わせる夢子と姫乃。二人で声を合わせて答える。
夢子・姫乃 「木の上―!」
正太 「二人とも、木登りできないくせに。」
俊平 「自分の行けないところに造ってもしょうがないじゃないか。」
正太 「そうそう。俊ちゃんの言うとおり。」
意地が悪そうにニヤニヤと妹達を見る兄達。
夢子と姫乃は再び顔を見合わせてから、口々に正太と俊平に反論する。
夢子 「良いんだもん、平気だもん。」
姫乃 「梯子を付けたら登れるもん。」
ねー、と再び頷きあう。正太と俊平、楽しそうに笑う。
正太 「でもね、それじゃやっぱりダメだ。」
夢子 「なんで?」
正太 「そんな分かりやすい所に造ったら、すぐにバレちゃうだろ。そしたら母さん達に怒られるし、運ぶ宝物も、全部捨てられちゃうよ。」
夢子 「そうなの?」
正太 「そうなの。」
少し兄ぶる正太。むくれる夢子。
俊平 「じゃあさ、正ちゃんは、どんな所が良いと思う?」
正太 「僕?」
俊平の質問に、少しだけ考える正太。だがすぐに、にっこりと笑う。
正太 「僕なら…庭に地下室を作ったり、ほら、近所の公園に池があるだろ。あの湖の底に造る。」
俊平 「正ちゃん、それは無理だよ。」
俊平、苦笑気味に言うが、正太は思いの他真剣な表情で俊平を見る。
正太 「わかってるよ。でもさ、出来なくても良いんだよ。普通って、つまらないじゃん。僕はね、ちょっとでも良いから、人と違う事がしたい。」
俊平 「ちょっとでも、違う事?」
正太 「そう。出来るなら、誰にも思いつかないこと。カッコいいじゃん。」
夢子 「お兄ちゃん、ちゃんとしたこと思いつけないから、そうやって誤魔化してるんでしょ。」
そのまま兄妹喧嘩を始める正太と夢子。姫乃はそれを楽しそうに見ている。
作品名:ぼくらのひみつきち 作家名:雪崩