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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「仮面の町」 第十三話

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「解るけど・・・本当に今は大切な時期なの。前に話した久能肇の運転手が起こした事故の真相が解ったの。後少しで彼らを追い詰めることが出来るの。この問題が解決しない限り弘一さんは身動き出来ないの・・・細かいことは話せないけど、私もお腹が大きくなってきたらここに住まわせてもらうからその時はよろしくお願いします」
「お前の家じゃないか、遠慮なんかしないでいいぞ・・・そうか、天木くんそこまで追い詰めているのか・・・たいした奴だな彼は」
「そうなのよ。まだ若いのにどうしてそんなエネルギーがあるのか不思議。両親から正義感を忘れるなと躾けられたことが彼の信念になっているようなんだけど、それにしても考えることがすごいの」
「俺は自分の身の上を考えてしか行動できなかったから、お前にも辛いことを言ったけど、彼ならひょっとしてこの町を変える事が出来るのかも知れないな・・・そうなれば、何かが変わるぞ」
「何かって?」
「うん、行政全般だ。古い風習は廃止される。久能不動産の経営自体は大丈夫だろうが、組織が変わるかも知れない。たとえば、子会社が独立したり、自由な競争をしたりとか市場原理が当たり前に働くようになる。隣町や大都会からいろんな企業や事業所が触手を伸ばしてくるだろう。
そうすれば新しい風が入って町は変わる。マンションの建設もすすむだろうし、人口だって増えるだろう。新しい産業も生まれるかも知れない。レジャー施設とか、文化施設なんかもね」