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宇宙列車 私の夏休み

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火星運河と火星年代記は、早くとも数万年後に実現する

 
 
 火星に運河ができ火星に新しい文明社会が作られる。これを、キリスト教の教義で言えば「後1000年王国論」となる。
 地球に取り残された人たちどうしが、核戦争をする。核の冬で地球には火星よりも寒くなる。日光がささないから海にいるプランクトンは酸素を供給できない。酸素がなければ、ほとんどの高等動物は呼吸できない。海の中にいる魚でさえも海水の中の酸素が足りなければ、ほとんど死に絶えるだろう。

 それが起きるのは、数万年から数百万年後の未来かもしれない。
「それでは、なぜ人類は宇宙に行くのでしょうか」
「資源の調達」
「違います。地球の地表の70パーセントは海です。海底には無尽蔵なほど資源が眠っています。また、海水からトリチュウムをとりだし、核融合発電が実現したとき、電力のほとんどは核融合発電に使います」
「核融合は致死量をはるかに超える中性子を出しますね」
「そうです。中性子に強い素材で作り、磁力で1億度以上のプラズマを制御させなければなりません。論理的には簡単そうでも、実用化には数世紀もかかりました」
「では月の表面にあるレゴリスという細かいチリにへリーム3を精製させて、それを地球に持ち帰るには」
「ロケットという方法では採算が取れません。まあ、今は宇宙エレベーターがあるから、簡単に月へ貨物列車を送ることができます」
「核融合が実用化できれば」
「でも核融合を実用化しても、文明の衝突は終わりません。さっき言ったように、宗教の争いは、今後50億年も続きます。50億年後には地球の表面は1000度になり、空全体が真っ赤な巨大な太陽が見えるでしょう。その前に、再度、地球はアイスボールになって住めなくなる。または、2億5千万年後には地球に海がなくなるかもしれません」
「そうなると、今度は火星に宗教原理主義者が来るかも」
「だから、私たちは太陽系を出ないといけない日が来るのです」

 私は窓から見える星を見た。この宇宙のどこかに、私たちのような知的生命体がいるかもしれない。
「南先生、宇宙人とは会えるのでしょうか」
 南先生は難しそうな表情で答えた。
「宇宙人はいるかもしれません。でも、宇宙人と遭遇する確率は、とても低いです」
「そうですか」
 私は少し残念に思った。
「何を基準で知的生命体だと思うのですか。地球の環境とは大きく異なる惑星では、地球と異なる生命体がいます。なんというか、私たちの想像を超えた姿をしたものがいるでしょう」
「むずかしい。わからない。先生、私たちの平均寿命は100歳まで。今まで元気でも、100咲いすぎると、ある日突然、ぽっくりと死ぬのですね。姿は若いままで」
「そうです。アンチエイチング技術は進歩しました。でも、倫理観の問題で、本当は何百歳でも生きられるはずなんですが、何百年も生きても幸せですか」
 逆に質問された。
「いいえ」
「何百歳も生きたら、精神がおかしくなります。脳を守るための技術もありますが、あまりにも多くの経験があるため、人格が崩壊します。簡単に言えば、性格が悪くなる。時代に合わないし、周囲の人たちは、みんな死にます。孤独です。性格が悪くなって、だれからも相手にされません。どこかの惑星の辺境で孤独に生きるなら誰にも迷惑をかけるわけではないから、それだったら何百歳でも生きてもいいですが」
「わかりました。人間は有限の時間があるから、正しく生きようとするのですね」
「そうです。死は決して人生の終わりではありません」
「先生、これは科学的な根拠はないですよ」
「そうでした。オカルトや宗教を好む人の答えになって申し訳ないです」
「先生、いいのです。だれでも間違えがありますから。でも、科学でもわからないことはたくさんありますから」

 そのあとも、私たちは担任の南先生とお話をした。

作品名:宇宙列車 私の夏休み 作家名:ぽめ