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宇宙列車 私の夏休み

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もうじき静止軌道都市・とても鮮明な夢



 約1週間、この宇宙列車の中で過ごした。
 地上を走る列車なら個室なので、とても快適に思えるけど、宇宙への旅は、SF映画と違って、かなり厳しい。無重力よりも宇宙放射線のほうが問題である。

「はあ・・・、もうじき静止軌道都市につくのね」
「そうよ」
 すこしぶっきらぼうな返事がきた。疲れている。
「ねえ、しばらく寝ない」
「そうね」

 23世紀になると、脳の構造がほとんど解明できた。そして、自由に見たい夢を見ることができる。私たちは、アイドルではなく、異世界ファンタジーの戦闘ヒロインになって悪者達を倒す夢をみる。
「ねえ、徐々に気持ちが落ち着く。危険・・・。中毒性がある」
「そうよ。だって、地上では、この薬は認められないから。これは過剰なストレスを緩和させる薬だから」
「なんだか、意識がぼやけてきた」
「私も」

 私たちは、バーチャルリアリティとは違う、ひじょうに鮮明な景色の夢を見る。色がとてもきれい。自分の肉眼で見るよりも、周囲の景色がきめ細かく見える。視力に換算すれば、6.0。視力が良くても2.0あれば十分すぎる。

 バーチャルリアリティは、量子コンピューターとリンクしないとならない。それでも、どこか作り物のように感じる。

 私たちは、楽しい夢を見ながら、静止軌道都市に到着するだろう。


作品名:宇宙列車 私の夏休み 作家名:ぽめ