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蒼い空と爽やかな風

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蒼い空と爽やかな風



今となっては電話で話すことさえできない彼女のことを、思い出してみよう。ずっと昔のことだけれど、私は彼女とドライブに出かけたことがある。彼女の名前は石沢由紀子というのだった。ちょっと可愛い顔だったが、それほど好きな顔でもなかった。私の好みとは微妙にズレていた。みんなは彼女を可愛いと云った。私はそれを聞くと、いつも反発を感じていた。そして、彼女が少し太めの体形だったことも、私にとって好ましいことではなかった。しかし、彼女の性格は嫌いではなかった。竹を割った性格ということばがあった筈だが、彼女はそれに近い性格の女性だったような気もする。だが、不思議なことに、彼女はそれでいて、おしとやかなお嬢様的な雰囲気の娘でもあった。
初めて彼女と会ったのは、銀座の画廊だったような気がする。私が描いた油彩の風景画を、彼女は褒めた。彼女はこの画が好きだと云った。ほかのひとたちも上手な画だと云っていた。そのグループ展は、絵画愛好サークル「創美会」が毎年定期的に開催しているものだった。創美会の顧問の画家が、毎年最優秀賞を決めた。中央画壇で有名な画家が、その賞を与えたのは私だった。私の作品の風景画だった。その前年も、私がそれを獲得していた。私の画は誰からも褒められた。その中で最も大げさだったのが、石沢さんだった。彼女は私の作品を観て涙を流した。そういうことは初めてではなかったが、私は彼女に少し惹かれた。