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あみのドミノ

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7、日曜日のお話し



通勤電車の中で私は亜美乃のことを思っている。日曜日は何をして過ごしたのだろう。頭の中の亜美乃は、白い洗濯物、そうなぜか白色だ。それをアパートの狭いベランダに干している。そしてふと手を止めて洗濯物の匂いを嗅ぐ。ああ、あの人の匂いを消すんじゃなかったかなととも思ってみたりする。亜美乃のあの人は私? 若い男?

多分、私の頭の中にある亜美乃のことは妻も社員たちも解らないだろう。私はたえず、他人に私はどう見えているのだろうかということは忘れないようにしているから。それは亜美乃に対して所詮その程度のかかわりあいという事ではない。50を過ぎてずるくなったのかも知れない。また妻のことも社員のことも考えているということでもある。

亜美乃が友達と一緒に住んでいるというが、それが本当なのかどうかも解らない。そして部屋の電話番号も知らされていない。開けっぴろげに見えて、何か秘密めいた匂いもする。まさか中年男をあやつる術を心得ていて、私をからかっているのではないだろうなと思って見たりもする。夕べテレビで見たドミノ倒しのシーンが目に浮かんだ。私は目の前にある亜美乃というドミノを次々に倒して行く快感を思う。

私は亜美乃からの電話にいそいそと待ち合わせ場所に向かっている。梅雨が近づいているせいかどんよりと曇っている。

ずいぶん久しぶりのような気がしたが10日ぐらいしか経っていない。このところ、つい亜美乃と若い男が抱き合っている姿を想像しそうになって、慌てて打ち消すということをしていた。亜美乃は自分のものでなないのだから、誰と何をしようと干渉できないのはわかっている。また亜美乃も得意そうにそれを話すだろうなという予想もある。


作品名:あみのドミノ 作家名:伊達梁川