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D.o.A. ep.17~33

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(ぐ…何をしておる!ラドフォードは!軍団長は!)

歯噛みしながらハスカードは進入阻止に努めるが、なんといっても、のこされていた第5軍をほぼ第1軍の加勢に向かわせてしまって人手がない。
それを決定したのはほかならぬ自分であるし、それが間違いだったともおもわない。
けれど、警告さえあれば、それなりの人員をのこしておいたのに。
あまりにも足りないので後方で事務をしていた者さえ防衛に駆り出さねばならなかった。
都民の避難はほぼ完了した。
総司令部に兵力を要求したが、それは望み薄であろう。
どれほど一進一退の拮抗した―――贔屓目で見て―――戦いを繰り広げているかはよくわかっている。
それに、もし運が悪いと、伝令が殺害され、届いていないおそれもある。
命令系統は機能不全になり、情報の流れも絶たれてしまう。
内陸に入りこまれることは、小規模であっても、はかりしれぬほどの脅威だ。
防壁が取っ払われているのが、王都の長所であり、こういった場合の致命的な短所だった。
広大とは、守るべき部分が多いということでもある。
海にかこまれ外敵の可能性をさほど考慮せずにすむ、島国国家の開放ぶりが、裏目に出ていた。
幸いにも、今現在前線で戦っているような大軍が現れたわけではないのが、唯一の救いだった。


「兵力要求の件、了承したとのことです。今向かっていると」
「…! そうか」
願ってもない朗報だった。予断は許されないが、この危機的状況からなんとか脱することができるだろう―――

―――不意に、違和感をおぼえた。
それがなんなのかわからず、ハスカードはただ感覚にしたがうままに、報告者の顔をふりかえった。



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作品名:D.o.A. ep.17~33 作家名:har