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D.o.A. ep.17~33

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ローレンの町は、第3軍の勝利をお祭りのごとく祝した。
戦争は序章を終えたにすぎなかったが、その序章をすばらしく終えられた意味は、非常に大きかった。
各軍は無論、大本営にもその勝報がもたらされたから、一週間もたたぬうちに王国全土へ広がるであろう。
まだまだ、油断のならぬ状況だったが、第3軍はソードという無類の強者をむかえいれて、有頂天の気分が蔓延しつつあった。
彼の助けがなくば、こたびのいくさは敗走となってローレンもうばわれていたにちがいない。
次の日の夜、町の中央広場では、慶ぶ町の住民らにより、ささやかながら祝宴がひらかれた。
酒はご法度であるから、食い物と果物の絞り汁だけがふるまわれたが、ロノア将兵らは十二分に愉しんだ。

「いやあ、しかしすごかったです。やっぱりソードさんの戦いぶりは一線を画してます」
ヘクトがちゃっかりソードのとなりを陣取った。
まわりには数え切れぬ軍人や町人がむらがって、目をかがやかせている。
「ぼ、僕、武成王閣下の勇姿、初めて拝見しました。か、感動しました」
新任の尉官らしき青年が緊張しきった面持ちで声をふるわせながら、つたなくも思いの丈を述べる。
「お前らもよく戦ったぞ。最後のあの勢いなら、この戦争も近いうちに終えられるさ」
「あ、ありがたいお言葉であります!以降も一層努力いたします!」
「その意気その意気。けどまあ、そうかたくなるなよ。心づくしを存分に味わおうぜ」
まじめくさって敬礼する軍人たちをなだめるようにいって、ソードは果汁をぐいと飲み乾した。
「そういや、第1軍もわれわれと同じくいくさを開始したそうですよ」
どこから得たのか、情報通のダナルが肉をかじりながらそんな知識を告げる。
「まあ、迂闊な我が司令部とちがって、ちゃんと総出であたったらしいっすから、まず間違いなく勝てるでしょーね」
総出であたれる理由は、距離にもある。
第1軍の担当地域は、入り組んでいない上、第3軍と第2軍の距離より近いのだ。
全滅させてから合流しても、第3軍ほど時間はかからないのである。
「第4軍の戦況も、聞くにいいかんじらしいです。幸先いい話っすよね」
大して噛まず飲み込んだら、飲み込みそこねて肉塊をつまらせた彼は盛大に咳き込んだ。
まわりの兵が苦しむダナルの背をたたき、ようやくのどを通り抜ける。
「はっははは、こんな戦争と関係ないところで命の危険とか、勘弁してくれよ」
ソードが笑いとばすと、自然場全体が陽気な空気で包まれた。

そんな一同の様子を、少し離れた場所から、ライルは果汁をちびちび舐めながらながめている。
「そばに行きたいなら行けばいいのに」
皿に食い物を盛って、リノンが隣にすわった。
「大活躍だったらしいわね、お疲れさま」
「…リノンも」
かけられた賞賛に、ライルは照れくさそうな笑みでかえした。
「ホント、怪我人多くてこまるのよ。労働時間、ライたちより多かったかも」
「大変だったんだな」
「うん。それにね…やっぱり助けられないと、つらい」
魔術は万能ではなかった。傷をふさぎ流れる血を止められても、けっして失った生命力をもどすことはできない。
「ロロナちゃんは見たけど、ティルバルトは?」
「ティルなら興味ないって閉じこもってたよ」
このような宴の場をいかにも好まない男は、案の定みずから避けたらしい。
「ティル…って、愛称で呼ぶようになったの?」
「ん?ずいぶん前からそう呼んでるよ」
「へえ、仲良くやってるんじゃない」
「そうかなあ。俺はあいつのこと、何にも知らないけどね」
「でも、知らなくたって仲良くはなれるわ」
ブドウをつまみながら、リノンは空を見上げた。
「ティルバルトってあんま素直じゃないけど、悪いヤツじゃないみたいだしさ。あんたといい友達になれると思うの」
「そうかな…そう、なれたらいいけど」
「ま、そのためには、早いとこ勝たなきゃね」
彼女はグラスをつまみ上げてわずかにかたむけ、ライルのグラスに、軽くぶつけた。
チン、とすずやかな音が鳴った。
ライルがきょとんとしていると、リノンは上目づかいでにっと笑う。

「ひとまず。最初の勝利に乾杯」


次の日、第3軍はそこそこの人員をローレンに割いた後、第2軍への合流を開始した。


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作品名:D.o.A. ep.17~33 作家名:har