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僕の村は釣り日和9~秘密兵器

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 翌朝は少しいつもより遅れて学校に行った。すると教室の黒板の前に人だかりができているではないか。僕もやじ馬根性で人をかき分ける。するとそこには、相合い傘が描かれており、桑原健也と小野和恵と書かれていた。
「だ、誰だ。こんないたずら書きしたやつは?」
 僕は叫んだ。この時の僕の顔は赤かっただろう。視界に小野さんが入った。小野さんはいつもの元気さがなく、少しはにかむように笑っている。
(笑っている場合かよ?)
 僕は黒板消しを手に持つと、その相合い傘をやっきになって消した。だが、筆圧が強かったのだろう。うっすらと黒板には跡が残って、完全に消し去ることは不可能だった。
「相合い傘より、釣竿の方がよかったかな?」
 高田君の声が背後でした。振り向くと、高田君がニヤニヤ笑っている。いたずら書きをしたのは、どうやら高田さんのようだ。
「へへへ、昨日、見ちゃったもんね。お前たちが落合橋の下で一緒に釣りをしているところを。一本の竿を仲良く二人で握っちゃってさ。ラブラブって感じだったぜ」
 すると教室のみんなはワーッと湧き上がる。ヒューヒューとはやし立てるやつもいる。
 僕は小野さんの方を見た。彼女は顔を少し赤らめながらも、堂々とした態度でいる。
「小野さん、君は平気なのかい?」
 僕は思わず、小野さんに尋ねた。別に小野さんのことが嫌いなわけではない。むしろ好意を抱いている。その好意は昨日の釣りで何倍にも膨れ上がった。しかし、黒板に相合い傘を書かれて、僕は顔から火が出そうだったのだ。
「別に。私たち、釣りをしただけで悪いことしたわけじゃないでしょ?」
「そりゃ、そうだけどさ」
 僕は頭をかきながら言葉に詰まった。こういう時は女の方が平然としていられるものなのだろうか。それとも、小野さんのさばけた性格によるものなのだろうか。
「なるほど、昨日はそういうことか」
 東海林君の声がした。気が付くと横で、東海林さんがニタニタ笑いながら頷いている。
「だからー……」
「いや、おめでとう」
「だからー……」
「言い訳は男らしくないぞ」
「はい……」
 教室中が爆笑の渦に巻き込まれた。
「何か、楽しそうな雰囲気ですね。邪魔しちゃ悪いかな?」
 斎藤先生がいつの間にか、人だかりの輪の中に入っている。
「そろそろ、朝の会を始めてもいいかな?」
 その先生の一言でみんなは席に着いていく。