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察人姫-第壱話-

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「久しぶりだな、二人とも」
 放送を受けて五分後に学生課にやって来たソラとユーイチを迎えたのは早坂忠。
 二人が高校三年生の時の担任で、今は生徒会顧問と生活指導を兼任している強面で丸坊主、体格の良い“いかにも”な教師である。
「げ、鬼坂……」
「反省文はご勘弁を!」
 そんな早坂を見るやいなや顔を歪めるユーイチに、きれいなお辞儀をするソラ。
 このやり取りだけで二人にとっての早坂忠という男がいかに厳しかった教師で二人が問題児であったことが二人の間に立つ、先程放送をした長い黒髪の若い女性、本田愛には容易に想像できた。
「あの、それでは私はこれで」
「ああ、ありがとうございました」
 早坂に二人を会わすことで仕事を終えた愛は軽く一礼して事務室に戻る。
 そして三人の空間。
 もちろん周りにスタッフや学生はいるが、三人が囲むテーブルには異様な雰囲気が漂っていた。
「あの、それでセンセーは私たちに何用でしょうか?」
 あまりの雰囲気に縮こまりながらも、沈黙を打ち破るように恐る恐る訊ねるソラ。
「いや、なに……一つお前達に頼みたいことがあってな」
「……はい?」
「だから依頼だ。佐伯、お前卒業式の時に言っただろ?『お困りの際には名探偵佐伯空になんでもご依頼くださいまし』と」
 依頼。
 早坂から出た予想外の言葉に二人は目を合わせたまま固まる。
 そんな二人に早坂は「ンンッ」とわざとらしく咳払いをし、黒い鞄から封筒を取りだし、テーブルの真ん中に置く。
「お前達には保澄学園で起きた四つの事件を解決してもらいたい」


 
作品名:察人姫-第壱話- 作家名:朝朽 司