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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「初体験・万博編」 第二話(最終回)

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第二話

春休みになってどうしても万博に行きたい気持ちが強くなってきたので一人で行こうか、男友達と行こうか迷っていたが、バイト先のマネージャーに九州に帰った香奈枝が万博の帰りに店に立ち寄るかも知れないという話を聞いた。
雄介は連絡先を教えてもらって万博を見に来る日を聞こうと思った。もう逢えないと思っていた香奈枝に出来れば逢って話がしたいと思ったのだ。佳恵とのことも話したかったし、どうしているのだろうかとも気になっていた。教えてもらった電話番号に掛けてみた。

「もしもし・・・井上です。香奈枝さん居られますか?」
「はい、どちらの井上さんでらっしゃいますか?」
「大阪でご一緒していた井上です。雄介といいます」
「そうでしたか・・・お待ちくださいね。香奈枝!電話よ、井上さんから」

「お待たせしました・・・雄介くん、どうしたの?」
「お久しぶりです。元気でしたか?」
「うん、元気よ。誰にここの番号聞いたの?」
「マネージャーです」
「そう・・・久しぶりね。元気そうな声が聞けて嬉しいわ」
「あのう・・・万博見に来るって聞いたんですが、いつの予定ですか?教えてくれませんか」
「そうなの。母と一緒になるべく早くって思っているの。せっかくだからお店にもご挨拶に伺おうかしらと思ってマネージャーに電話したのよ。それがどうかしたのかしら?」
「俺も万博に行きたいから、出来れば同じ日にって考えたんです。そうしたら話も出来るのかって・・・いけませんか?」
「母も一緒よ?構わないの」
「もちろんですよ。新大阪まで迎えに行きますから・・・時間決まったら教えてください。四月の7日までなら何曜日でも構いません。春休みですから」
「ありがとう・・・久しぶりに雄介くんと話せるのね・・・母をホテルに送ってからゆっくり二人で話しましょう。それじゃ、イヤ?」
「あっ・・・はい、それでいいです。じゃあ、連絡先は言いますから・・・」

雄介は意味深な誘いにドキッとしたが、逢って話をするだけなんだから・・・と強く自分に言い聞かせて納得させていた。万博へは、違う日にしようと思った。

「雄介!電話よ。武田さんて言われる方からよ」
「武田?・・・香奈枝さんか!」
母親は怪訝な顔をして受話器を雄介に手渡した。

「もしもし、待ってました」
「雄介くん・・・お母さん変に思ってなかったかしら?大丈夫・・・話をしてて」
「もちろんだよ」
「うん、三月の23,24の月・火で行こうと決めたの。良かった?」
「大丈夫だよ。20日から休みだから。どこに行けばいいの?」
「そうね。母を市内のホテルに送ってからだから・・・6時ぐらいかしら。京橋のショッピングモールの広場で待ち合わせしようか?」
「それなら近いから助かります。遅れても構いませんから慌てないで来て下さい。楽しみにしています」
「私もよ・・・もう逢わないってあのときに言ったのに、変に思ってない?」
「思ってませんよ。せっかくなんだもの、いいじゃないですか話をするぐらいは」
「そうよね、話をするだけだものね。じゃあ、23日に」
「はい、電話ありがとうございました」

「ちょっと、雄介・・・武田さんってどういう人なの?お母さんに言えない人?」
「そんな事ないよ。バイト先で一緒だった人だよ。実家の九州に帰ってしまったんだけど、今度万博に来るってマネージャーから聞いたから、俺も逢いたいって頼んだだけだよ」
「幾つの人なの?」
「ええ?・・・幾つだったかな。五つ年上だったような気がする」
「佳恵さんは知っているの?」
「逢うこと?」
「そうよ」
「言ってない」
「言えないんでしょ!」
「そんな事ないけど・・・なんて言っていいのか解らないから」
「お母さんと約束して!話をするだけだって言うこと」
「ああ、約束するよ。俺がすきなのは佳恵だけだから・・・心配するなって」
「軽い気持ちで他の女性と会ったりするのは間違いの元になるのよ。もう17歳なんだから相手の人だって何を考えるか解らないでしょ?」
「解ってるよ!くどいって・・・」
「佳恵さんはとってもいい子みたいだからお母さん大切にして欲しいってそう思うから言ってるのよ」
「母さん、ありがとう・・・」

雄介は痛いほど母の気持ちが解っていた。絶対に香奈枝との関係を知られてはいけないと肝に命じていた。

23日の6時に待ち合わせ場所のショッピングモールで香奈枝は待っていた。
「香奈枝さん、お待たせ・・・」
「雄介くん、逢えて嬉しいわ・・・そう、これね博多名物の明太子・・・家で食べて、美味しいわよ」
「頂けるんですか?ありがとうございます。俺なんにも持ってきてないけど・・・すみません」ペコッと頭を下げた。
「いいのよそんなこと気にしなくて。雄介くんが逢いたいって言ってくれたことが一番のお土産なんだから」
「本当ですか!嬉しいです」
「ご飯食べに行きましょう。どこにする?」
「モールの中でもいいけど・・・道頓堀にでも行きませんか?もう大阪にあまり来る事が無いでしょ?」
「そうね・・・大阪らしいところがいいかも知れないね。そうしましょう」

京阪電車に乗って淀屋橋まで行き、地下鉄御堂筋線に乗り換えて心斎橋で降りた。平日のこの時間は通勤客で駅は混雑していた。

「やっぱり大阪は都会ね。人が多い・・・」
「香奈枝さんは九州のどこでしたか?」
「福岡市内よ。来た事ある?」
「無いです。でも今年の五月に修学旅行でそちらに行きます。別府から宮崎、鹿児島、熊本なんですが戻る途中で福岡も見学するようです」
「そうなの!そうか、修学旅行か・・・北海道へ行くのはその後なんだよね?」
「はい、夏休みですから」
「いっぱい旅行が出来て羨ましいわ」
「遊びには行かないんですか?」
「あんまりね。母と一緒だから何かと遠慮しちゃう。父も留守がちなので母一人だけ置いて出かけにくいのよ」
「そうですか・・・家族で旅行されるといいのに」
「雄介くんのところはしてるの?」
「してないです」
「そうでしょ?そういうものよ」

「俺が福岡に遊びに行ったら・・・案内してくれますか?」
「もちろんよ・・・是非・・・彼女といらっしゃい!美味しいもの食べさせてあげるから」
「彼女とですか・・・いいんですか?」
「当たり前じゃないの!雄介くんの彼女なのよ。遠慮なんてしなくていいから、なんなら家に泊まっても構わないよ。そうしたら安く済むから」
「そんなあ・・・出来ないですよ」
「どうして?・・・はは~ん、やらしいことが出来ないからでしょ?」
「そんなことないですよ、もう・・・そこですか?」
「そう、そこよ!あの時雄介くんなんて言ったか覚えている?」
「はい・・・恥ずかしいですが覚えています」
「良かった・・・じゃあ、今は上手くいっているのよね?」
「教えてもらったお陰です」
「よしよし・・・お手並み拝見といいたいところだけど、やめておくわ。あなたの事好きになっちゃったら困るものね」
「香奈枝さんはお付き合いしている人いないんですか?」
「いないわよ」
「淋しくないですか?探してないんですか?」