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僕の村は釣り日和6~和みの川

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 僕の疑問を見透かしたように父が笑った。
「うん……」
 僕は自信なさげにつぶやいた。
「この色は意外と水の中では見えないものなんだよ。それに水の上ではよく見え、ルアーの位置が確認できるから腕も上達するってわけさ」
「なるほど」
 僕は父の説明に納得した。今は僕よりずっと腕のいい父の言葉を信じるしかない。
「じゃあ、糸を巻いておいてね。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
 僕は父の部屋を出て、一階の電話へと向かった。もちろん東海林君に電話をかけたのだ。少し遅い時間だったが、まだ起きているだろう。
 電話口に出た東海林君に竿とリールを父親が貸してくれることを話したら、彼は興奮気味に言った。
「本当か? 本当にパームスのロッドとアブのリールを貸してくれるのか?」
 電話の向こうから彼の唾が飛んできそうだった。
「ああ、ぜひ使ってくれってさ」
「よーし、明日は釣りまくるぞ」
 元気な声が飛び込んできた。電話線が震えているようだった。
 その後、僕は自分の部屋に入り、ベッドに横になった。雨戸もカーテンも閉めなかった。
 窓の外には転がりそうなほど丸い月が浮いていた。月の光は優しく僕の部屋の中を照らしている。温かく、心地よい光だった。僕は月の光に守られながら眠りについた。

 翌朝、僕は目覚まし時計よりも早く起きた。もっと驚いたことは、父が僕よりも早く起きていたことだ。
「これ、そろそろ健也に合うかな?」
 父が外でウェーディングシューズを出していた。ウェーディングシューズとは、底にフェルトの生地を貼った靴のことで、それを履けば川の中でも滑らない。
「お父さん、おはよう」
「ああ、おはよう」
 そのウェーディングシューズはフェルトが真新しく張り替えてあった。僕のためにここまでしてくれる父に感謝の気持ちで一杯だった。
「今日はこれを持っていけ」
 父は小さなルアーボックスを僕に二つ手渡した。
 一つは小魚の形をしたミノーがぎっしりと詰まり、もう一つには金属でできたスプーンというルアーが輝いている。
「ありがとう。お父さん」
 僕はしっかりと父の目を見て言った。父はにこやかに笑ってうなずいた。
「朝ごはんの準備、できたわよ」
 母親の声がすがすがしく響いた。それにしても今日はいい天気だ。ちぎれた雲が夏祭りの綿菓子のように飛んでは溶けていく。