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スターブレイダ―ズ

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 翌日、朝から4人は朝一のシャトルで地球へ向かった。
 ビアンカがレンタカーを借りるとかつて4人が住んでいた住宅街に向かった。そこから少し離れた所に寺があり、さらに数メートル先に進むと霊園があった。
 そこにはシンジとチサトの両親ハヤト・ゴウとアヤノ・ゴウが眠る墓がある、2年前に引っ越して以来この辺りには来なくなったので雑草が伸び放題だったがシンジ達は手分けして墓の周りを正装し、買って来た花を添えると線香に火を点けた。
「お父さん、お母さん、私とお兄ちゃんはナイト・クルーになったよ。これからも私達の事を見守っててね」
 チサトは両手を合わせながら両親が眠る墓前その事を報告する。
 シンジもレナもビアンカも合掌し黙祷をささげる。
「さてと、じゃあ次はビアンカさんの両親のお墓参りっスね。」
 シンジがビアンカを見る、
 ビアンカの母も4年前に病気でこの世を去りこの霊園で眠っている。
「シンジ君、私の母さんのお墓参りは別にいいわよ」
 ビアンカは首を横に振った。
「え、でも……」
「私がお母さんのお墓に行く時は、有名なデザイナーになってからって決めてるから」
 4年前、
 まだ学生だったビアンカは病院で母が息を引き取る寸前に必ず1人前のナイトデザイナーになると誓ったのだった。
「お墓参りなら父さんが毎年来てるわ。それに今の私が顔を出したって、きっと天国のお母さんは喜ぶどこか怒っちゃうわよ」
 するとシンジはため息を零すと口の端を上に上げた。
「……そうっスね、じゃあ行きましょうか」
 それから4人はかつて自分達が暮らした所を順番に見て回った。
 一緒に学んだ小学校、夏の日になると一緒に遊びに行った市民プール、供に遊んだゲームセンターやレナの実家にも顔を出した。
 日も傾き始め、最後に訪れたのは公園だった。
 ブランコに砂場、滑り台など、子供の頃は良く遊んだ思い出の品が今でも残っていた。
 今日は休日と言う事もあり子供達であふれ帰っている。
「久しぶりにきたわね、ここ……」
「うん、」
 チサトは今は自分達より小さな子供達が遊んでいる砂場を見る、そこはかつて4人とプロメテスがままごとをして遊んだ場所だった。自分とプロメテスは子供役しかやらせてもらえなかったがとても嬉しかった。
 するとブランコを見て考え事をしていたビアンカがシンジを呼んだ。
「そう言えばシンジ君って、救急車で運ばれた事があったわよね?」
「いいっ?」
 シンジは顔を顰めた。
 あれは小学校2年生の頃、ブランコに乗って高く漕いだ後ジャンプして着地しようとしたのだが失敗し、顔面を地面にぶつけて鼻の骨を折った事があったのだ。
 その後大泣きしたシンジは救急車でレナの実家の病院に運ばれたのだが近所の住民達が出てくるほどの大騒ぎになってしまったのだった。
「カッコ付けようとするからよ、ホントその頃からバカなんだから……」
「う、うるせぇな……」
 シンジは顔を赤くして亀みたいに首を引っ込めた。
「でもレナちゃんは『シンジが死んじゃう〜っ!』って泣いてたわよね?」
「ビ、ビアンカさんっ! 私そんなつもりじゃ……」
 レナは顔を赤くして必死で弁解した。
「本当に懐かしいわ。あ、そう言えば……」
「……今度は何スか?」
 ビアンカは公園内の一番大きな木に駆け寄った。そこに膝を付くと両手で根元を掘り出した。
「何やってるんですか?」
「忘れちゃったの? タイムカプセル埋めたじゃない」
「タイムカプセル?」
「あ、そう言えば……」
 レナは両手を合わせた。
 それはビアンカが火星に行く前日に最後の思い出としてタイムカプセルを埋める事にした。
 中身の無くなった菓子の空き缶にそれぞれが大事にしている物を入れてこの場に埋め、いつしか空けようと約束したのである。
 シンジやレナも一緒になって土を掘り起こすと泥まみれの四角い缶の箱を発見した。
「あった!」
 シンジは箱を引っ張り出すと蓋を開いた。中に入っていた物を見た瞬間皆の顔が緩んだ。
「うわー、懐かしーっ!」
 レナが手に取ったのはかつて自分が大事にしていた着せ替え人形、シンジはナイトの模型、チサトは家族の写真だった。
 そんなはしゃぐ3人を横にビアンカは自分がしまった宝物を手にとった。それは2枚に折り畳まれた紙の束だった。
「これは……」
 開いてみるとそれは色鉛筆で描いたナイトの絵だった。
 それは幼い頃のビアンカが描いたナイトの絵でそれを見ている内にビアンカの心の中にあった物が徐々に解け始めた。
 子供の頃は色々なデザインが浮かんできてそれが楽しくて仕方なかった。
 すでに採用されて実用化された事が分かってガッカリした事はあったがそれでも描く事が、想像する事が楽しくて仕方なかった頃の事が彼女の脳裏に浮かんだ。次第に瞳が潤んできて一筋の涙が頬を滴り落ちた。
「ビ、ビアンカさんっ?」
 何か悪い事をしてしまったのかと考える3人、しかしビアンカは涙を拭うと微笑してシンジ達を見る。
「ごめんなさいね、心配かけて…… でも私、決心が付いた」
「決心?」
 それは以前レナに話した自分がスランプになっている事、そして会社を辞めようかどうかを迷っていた事だった。
「私、また一から出直すわ。もう一度デザイナーの仕事を頑張ってみる」
 ビアンカの瞳は力強い光を秘めていた。

 その数日後、シンジ、レナ、チサトは世界中の時間が止まったかのように凍りついた。
「……えっ?」
 ホークから新しいナイト・クルーが決まったと言うのでオペレーター・ルームに集まった。だが……
「紹介の必要は無いな、新しいナイト・クルーだ」
「よろしく」
 そこにはライセンスを持ったビアンカが立っていた。
「な、な、な……」
「何でビアンカさんがッ?」
 レナとシンジは驚く、無論チサトもだがコメントが出なかった。
「やっぱりナイトを知るには実際SSBを体験みるのが一番いいと思ったの、だからナイト・デザイナーは一旦お休み、これからはスター・ブレイダーズのナイト・クルー、ビアンカ・ホークとしてがんばるわ」
 ビアンカは片目を瞑ってウィンクをする、その姿にシンジ達は苦笑するのであった。
 
 それからビアンカは父・ホークが愛用していた真紅の装甲のスター・ブレイド03を操縦した。
 ナイトに初めて乗ったにもかかわらず父親顔負けの操縦テクニックで模擬戦を突破して行った。
「す、すげぇ……」
「天才っているのね……」
 シンジ達はビアンカの才能をすぐに認めた。
 ビアンカは会社にいた時は良く開発局に出向き、実際にナイトを操縦して性能をテストしたり出力の調整を手伝っていたと言う、
「やはり私の娘だな、みごと03を手足のように扱っている。」
「良く考えればナイト・デザイナーって、一番ナイトを理解してんだよな。」
「あとは私達が頑張るだけだよね?」
 チサトも兄の顔を見上げる、シンジも力強く頷く。
「あとは04、そして金か……」
 シンジは眉をひそめた。
 残るナイト、スター・ブレイド04のクルーも資金も頑張ればどうにかなる問題ではなかった。
「クルーも金も、どっかに転がってねぇかな……」
 シンジは正直焦っていた。
作品名:スターブレイダ―ズ 作家名:kazuyuki