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みち

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この裏道を行けば貴方に逢えるかな。
逢えたら抱きついていいのかな。
人目があるかな。
でも、もうそんなことは言ってられない。
もうこんなことを続けていたら、私は不思議の国のアリスちゃんのように
笑ってはいられない。
早く、貴方に逢いたい。
きっと、目が虚ろに不安ばかりを見つめて、その壁を幾つも曲がってきた。
誰にも聞けず、誰も知る人がいない。
無情な仕打ちをするかのように赤紫色の痕を残す。
履いているヒールは土にまみれ、その踵は私の足を痛めつける。
どうして、こんなことになっちゃったの・・・?
あの時、ひとこと言ってくれれば、こんな思いはしなくて済んだかも知れないのに。
いえ、本当は、私も軽い気持ちだったの。
何が起きたって平気よ。
いや、私に限って起こるわけないって思って始めたこと。
あー。痛いわ。
心も。体も。
そして・・・。
悔しいわ。負けたの?私・・・。
プォーー
何?サイレン?
ふと現れた見知らぬ男。
私に意味あり気に笑みを浮かべると踵を返して背を向ける。
着いて来いって仕草までして。
何よ。私にはかっこいい彼がいるのよ。
あんたなんかに・・・淋しくたってあんたなんかに着いて行くもんですか。
ああ、でも私ってやっぱり弱いかな。
少し、近づいていいですか。待って、置いて行かないで。
え!ここ?
男が示す扉へ私は入った。
私は、うかつにも涙が零れる。こんなはずじゃあ・・・。


作品名:みち 作家名:甜茶