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それぞれのクリスマス・イヴ

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「じゃあね」と少女は母親に言って、父親をみる。
母親が「あれっ、帰ることになったら急に元気がでたね」とからかった。
「そりゃそうだよね。病院じゃ遊ぶところ無いしね」
父親が、帰り支度をしながら言った。

「いつもあっさりして、バイバイって帰るよと友達に言ったら、びっくりしてるよ。普通はお母さんの所から離れたくないなんていうものなんだけどね」
母親が、あきれたように娘を見ながら言った。

「しょうがないよ。お母さんは、こうして時々別荘で生活しているから、お母さんはたまに家にいる人になってるんだよ」
父親がそう言うのを聞いてから、少女は、少しだけ後ろめたい表情で母親に手を振った。

「じゃあ、頼んだもの明日ね」と母が父に言うのを後ろに聞きながら少女は病室を出ようとした。同室のおばあちゃんが「ありゃ、もう帰るのかい」と言う。少女は、小さく手を振って、すぐに出口に向かった。ここは好きじゃないなあと思いながら。

少女はエレベーターのボタンを押して、廊下を振り返る。父親が少し疲れたような歩き方でやって来て、エレベーターに乗った。