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夏風吹いて秋風の晴れ

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直美が弓子ちゃんに


直美と純ちゃんは、車の周りでお掃除ごっこだった。
「がんばってぇ 弓子おねーちゃん、 劉ちゃーん」
直美が言えっていったのかは わからなかったけど、純ちゃんが、そばにやってきては、かわいい声を出したいた。
直美はそれを眺めながらバケツや、ホースブラシを片付けていた。
もともと手入れのよかった叔父の車は、弓子ちゃんの手でワックスが全体に広げられていた。俺がしたのは、ほんの一部の車の左側だけだった。
「これって、乾いてから、拭くんですよね?それまでは待ってるんですよね?」
弓子ちゃんに聞かれていた。
「うん、そうだと思うなぁー なんか書いてない?その缶に?」
「えっと、あっ、乾くまで待って柔らかな綺麗な布でからぶきしてくださいって 書いてあります」
「うん、じゃぁ、全部できたら、お昼にして、それからのんびりでいいんじゃないかなぁ?」
「はぃ」
「うん、叔母さん、お昼の用意できちゃってるみたいだし、そうしよう」
「はぃ。あのー 劉さんって、五目ご飯っていうか、散らし寿司っていうか、好きなんですか?昨日の晩から、叔母さん一生懸命に台所で、したごしらえしてたから・・」
なにかというと叔母は俺の大好きな食事を用意してくれる人だった。
「ねぇー 聞いていい?弓子ちゃん?」
片づけが終わった直美が弓子ちゃんに近づきながらだった。
「はぃ、なんですか?」
「うーん 言わないようにしようかなぁーって おもったことなんだけど やっぱり気になっちゃうから 言うね。気にしないでね」
「は、はぃ」
「いまでも 叔母さんって呼んでるの?それはわたしと、劉の前だからなの?」
「うーん、いまでも叔母さんって・・・」
ちょっと言いづらそうに直美に弓子ちゃんが答えていた。
「じゃぁ、純ちゃんもなの?」
「はぃ、いけないなぁーって思ってるんですけど・・わたしが 言わないから・・」
「うん、いいのよ。はじめっから すぐに、おかーさんって 呼ぶのもおかしいもんね。でもさ、もう、そろそろいいんじゃない?おかーさんなんだし・・そうでしょ?弓子ちゃん?」
直美の話を聞きながら、元気に動き回っていた純ちゃんを捕まえて、手を握っていた。純ちゃんにはわからないかもしれなかったけど、2人の話を聞かせようとだった。
「直美さん・・わかってるんですけど・・きっかけが・・・叔母さんって最初から呼んじゃったし・・・ここに来る前からも、ずっと叔母さんって呼んでたし・・わざとじゃないんです・・」
「それは、わかってるって・・でも、ずっとそういうわけにはいかないでしょ・・叔母さんは、あういう性格だから、むこうからは言わないしね」
「はぃ、わかってます」
すっかり弓子ちゃんは、手を止めていた。
こっちが、純ちゃんを手を握りながら残ったワックスがけをしていた。
「じゃぁー 思い切って、今日から呼んじゃおうよ。ねっ、そうしよう」
「えっ」
「えって・・・恥ずかしい?弓子ちゃん?」
「ちょっと・・うん」
「そうだよね、うん、わかるよ。でも、今日、きちんと呼ぼうよ」
笑顔で直美がうなづきながら、弓子ちゃんの肩に手を置いていた。
それに、答えて弓子ちゃんが、ちいさく頭をうなづいていた。
「よし、終了っと。あとは 乾いてからね。お昼食べて、のんびりしてからにしようか?叔父さんは何時ごろ帰ってくるの?弓子ちゃんしってるの?」
話の途中だっったかもしれなかったけど、口をはさんでいた。
「えっと、3時ごろだと思うんですけど・・そう言って、迎えの車ででかけましたから・・叔父さん・・」
「弓子ちゃん・・それもね・・」
叔父さんって、言った弓子ちゃんの言葉を聞いた直美がだった。
「あっ、はぃ」
「うん。どっちも今日でそれはお終いにしちゃおう、ねっ 約束ね。純ちゃんもね」
なんだろうって顔をしていた純ちゃんにも直美が顔を向けていた。
「うん」
純ちゃんがわかってるのかどうかだったけど、返事をしていた。
「あっ、じゃぁ とりあえずご飯にしよう。叔母さん待ってるし」
片付けながら全員に声をかけていた。
「うん。そうしよう。お腹すいちゃったかな?純ちゃん?」
直美がそばに来ていた純ちゃんにだった。
「うん、お腹すいたぁー 」
「じゃぁ、手洗ってね、出来るでしょ?一人でも・・」
「はぃ」
返事をした純ちゃんを直美が玄関先の水道があったところまで連れて歩き出していた。
弓子ちゃんはそれをみながら、手にしていた布を片付けていた。
「弓子ちゃんさぁ たぶん、きっと直美も手伝ってくれから、さっきの話は、ちゃんとしよう。ずーっとってわけにはいかないしさぁー、ねっ」
由美子ちゃんの顔が、直美と話した後から、どうしよう・・って顔にすこし見えたから、俺も口を挟んでいた。
「はぃ、大丈夫です」
「そっか、うん、言っちゃえばたいしたことじゃないし・・なーんだって感じだって・・」
無責任かもしれなかったけど、そんな言葉しか口から出てこなかった。
でも、一度はこの話は、当人たちにまかせようって直美と話してたことだったけど、急にまた言い出した直美の話には賛成だった。
叔母さんや叔父さんを、おかーさん、おとーさんって呼ぶきっかけは、自然にが1番なんだろうけど、今日それが、出来ればそれはそれで、かまわないような気がしていた。直美が言ったことが、きっかけだったとしてもだった。
純ちゃんの手を引いて家の中に向かう直美が、こっちを見て、言っちゃったけどいいよねって、顔だった。
いいよって、顔で答えていた。

作品名:夏風吹いて秋風の晴れ 作家名:森脇劉生