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CROSS 第15話 『せめぎあい』

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 少佐は議事堂の廊下を歩いていた。彼は議事場を出る際、その場
にいた大半の人物からこれ以上ないほど非難されたが、少佐は気に
していない様子だった……。まだサイレンは鳴り響いており、とき
どきジェット音が聞こえてきていた……。
「あなたはこの異次元をどうするつもりなんですか?」
これは妖夢だ。彼女は、少佐が「馬鹿なこと」をしないように、見
張りとして、少佐を議事堂の玄関まで見送ることになっていた……。
「公聴会はもう終わったし、おまえの質問に答える義務は無い」
少佐は静かにそう言った。
「…………」
「しかし、これだけはいえる。 この異次元は、『悪貨は良貨を駆
 逐する』という状況のままだろう」
それを聞いた妖夢は、少佐を睨み、
「それは、『正直者が馬鹿を見る』ということじゃないですか!」
強気の口調でそう言った……。少佐は少し考え、
「だけど、その原因はオレたちCROSSだけのせいじゃない」
少佐はそれだけ言うと、口を閉ざした……。
「…………」
妖夢は何も言い返さなかった……。



 そして、少佐は議事堂をあとにした……。妖夢は少佐を黙って見
送ると、議事場に戻っていった……。議事場の喧騒が、だんだん聞
こえてきていた……。



   【 第15話 終わり 】

        つづく