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母の想い出

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 二十歳を過ぎると、母は友人の紹介で知り合った別の若い男と恋愛し、結婚し、東京の墨田区の方に住んでいたようです。新婚時代は浅草から銀座まで、若い夫とよく歩いたそうです。しかし、戦争のために別れ別れになってしまいます。夫は静岡の航空隊に配属になり、終戦まで、ゼロ戦の整備などをしていたようです。
 退役した夫は、肥料などを製造する大きな会社の社員になり、母は夫の勤め先がある川崎に引っ越して来たのでした。現在の川崎市役所の近くに、土地と家を買ったようです。繁華街です。夫は会社をやめ、そこで焼き鳥屋か何かを夫婦で始めたようでしたが、長続きはしなかったみたいですね。
 その後、夫は町工場の旋盤工になったのですが、安月給なので子供が増える度に生活が苦しくなって来たのですね。そこで、私の母は川崎競輪場で予想新聞を売るようになりました。東京の後楽園競輪や、横浜の花月園競輪でも、幼い子供を背負ったまま新聞を売っていたわけです。売上がナンバーワンだったようです。
 母は甘いものが好きでしたから、稼げるようになると毎日、甘い菓子や果物を買って帰りました。小豆の甘納豆入りのパンをよく焼いて、私を含む五人の子供たちに食べさせました。自慢のそれを、近所の家に持って行くことも多かったようです。
作品名:母の想い出 作家名:マナーモード