小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

レイプハンター 後編

INDEX|2ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

浩介は引き返す途中何事なのか考えていた。翔子という女性と前田という男性との間に自分たちが関係している事でも
あるのだろうか。そう思うとあの雨の夜に妻が修の車で出かけたことが唯一の引っかかりに思えてきた。
前田を知らないと言った妻は嘘をついているのかもしれない。ひょっとしてあの夜に浮気でもしていたのだろうか。
そこまで考えは飛躍していた。記憶をたどればあの雨の日は自分が帰ったとき妻は外出していた。修の車も無かったから
どこかに一緒に出かけていると思い込んでいた。修が体調不良で自分の部屋で寝ていたとしたら、どうしても前田と言う男性との接点は
妻になってしまう。

家の前に翔子は立っていた。

「お待たせしました」
「すみません、お仕事忙しいこと承知でお呼びだてしまして・・・」
「構いませんよ。何か大切なことなんですよね、翔子さんにとっては?」
「はい・・・ご説明しますから聞いて頂けますか?」
「ここではなんですから中に入ってください」
「ありがとうございます」

居間に通された翔子は目の前に浩介と修が座る状態で話し始めた。

「松下さん、私はあの雨の夜にここから近い場所で修さんと同じ車から声を掛けられて乗せてもらったんです。
雨が激しくてずぶぬれになっていましたからつい助かったと思い乗せてもらいました。前田と名乗った男は40代で教会の牧師を
していると名乗りました。行き先の友人の家に着いたのですが、降ろしてもらえず走り去って、人影の無い場所で車を停めました。
その後はご想像下さい・・・男性の車に乗った私がいけないと言われれば確かにそうでしょう。しかし、私は同じ被害を出さないように
犯人を見つけて処罰して欲しいと願っています。偶然ですが犯人の乗った車がその夜首都高への入り口でカメラに写っていました。
顔もはっきりと解っています。失礼ですが同じ車種ということで、修さんの車の中を見せて頂きたいのです。雨で外の記憶は無いのですが、
ダッシュボードとかシートとかの記憶は残っています。お願いできませんか?」
「そうでしたか・・・存じませんでした。最低な男が居るものですね。是非犯人を見つけて処罰を受けさせましょう。
どうぞ車庫の方に来てください」

E400のドアロックが解除され助手席側のドアーを開けた。中をのぞいた一瞬でこの車だと翔子は感じた。いや、翔子の中の
知的生命体がそう判断した。

「松下さん・・・残念ですが、私が乗せられた車はこの車です」
「なんと言うこと!・・・信じられません。修はその日早く帰ってきて家に居たんです。この車を使って出かけたのは
妻なんですよ。女性では無かったですよね?もちろん犯人は」
「もちろんです。前田と名乗った男性です」
「だとしたら・・・どういう事なんでしょう?」
「奥様はご在宅ですか?」
「いや、早くから出かけました。戻ってきたら夜になるかもしれませんが、詳しく聞いて見ます」
「ありがとうございます。それでは失礼します」

浩介は仕事に戻っていった。修も出かけていった。そしてこの日から浩介の妻は戻ってくることが無かった。

夜遅くになって翔子に電話が掛かってきた。浩介からだった。
「妻と連絡が取れなくなってしまいました。家にも帰って来ませんし困っています」
「どうされたのでしょうか、ご心配ですね。明日の朝もう一度お伺いします。宜しいですか?」
「あっ、はい・・・では私も仕事を休みますのでお話させて下さい」
「かしこまりました。では明日」

眠ろうとした翔子に知的生命体はあることを示唆した。
「被害者がもう一人出るかも知れない」
「どういうことなの?」
「浩介の妻のことだ」
「まさか!そんな・・・」
「きっと犯人を知っていて出かけて、戻れなくなっているんだと思う」
「浩介さんから聞かされてピンと来たのね、犯人について」
「おそらくな」
「すぐに出かけた方がいいかしら?」
「どこへだ?」
「どこって・・・一先ずは浩介さんの家にじゃない?」
「こんな時間から探せないぞ。どの道もう手遅れだろう。朝にしたほうがいい」
「そんな話し聞かされて眠れないわよ!」
「じゃあ・・・こうしてやる。眠れるぞ」

知的生命体は体内にある眠りのホルモンを噴出させた・・・翔子の身体は急に重たくなりそのままベッドに倒れこむようにして
眠ってしまった。翌朝母親が起しに部屋に入ってきた。
「翔子ッたら服も脱がないで寝たりして、みっともないッたらありゃしない。起きなさいよ!電話だから!松下さんっていう方よ」
「なに?お母さん・・・誰から電話だって?」
「もう、寝ぼけちゃって・・・松下さんよ、男の方」
「ウソ!すぐに出る」
ベッドから走って一階の電話口に向かった。

「はい!翔子です。お待たせしてすみません」
「浩介です・・・おはようございます。今警察から連絡がありまして妻の車が放置してあると停めてあった傍の家の
方から苦情が出たそうです。今から引き取りに向かいますのでご連絡だけしておこうと思いまして」
「ありがとうございます。どこに置いてあるのですか?」
「ええ、都内です。高井戸なんです」
「すぐ傍ですね、偶然ですが。多分私のほうが早く着きますよ。詳しい場所教えていただけませんか?」
「来て頂けるのですか?」
「もちろんです。ご心配でしょうから」
「ありがとうございます。場所は・・・」

着替えを済ませて朝食を軽く取り現場に向かった。閑静な住宅街の中にあるアパートのようなマンションのような集合住宅の
前に車は停められていた。小型のベンツでC240と刻印されていた。真っ赤な色はこの辺りでは目立つ。翔子は先に着いて
辺りを見回していた。駐車していたマンションの隣に建っている家の主婦だろうか、外に出てきて翔子を見つけて話かけてきた。
「この車の持ち主さん?」
「いいえ、違います。持ち主のご主人が来るので待っています」
「じゃあ、娘さん?」
「違うんです。うまく説明できません・・・知り合いなんです」
「そうなの・・・この車このごろ時々見かけるのよね。迷惑って言うほどじゃないけど、みんなちゃんと駐車場に入れているから
そうして欲しいって思っていたの」
「時々?いつ頃からでしたか?」
「う~ん三ヶ月ぐらい前からだったかしら・・・内緒よ、絶対に・・・このマンションに住んでいる男性の部屋に来ているらしいの。
知っている人が見かけたって言うから。40代後半ぐらいの女性でしょ?持ち主って」
「多分そうです。男性はどんな感じの人でしたか?」
「私は見てないから知らないけど、その人の話じゃ優しそうな40代前半の方らしいわよ。気になるのなら訪ねられたら?」
「後で待ち合わせしている者が来ましたらそうします。ありがとうございました」
「いいえ、どう致しまして・・・お嬢さんこの近くの方?」
「はい、吉祥寺で家は酒屋をやっています」
「そう!そうだったの・・・」
「ご存知なのですか?」
「ここら辺では古い家だからね。知っていますよ」
「ありがとうございます」

浩介の乗ったE500が来た。
「お待たせしました。息子に運転して帰らせます」そう言って合鍵を渡してドアーを開け修が乗り込み自宅へと戻っていった。