小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

レイプハンター 後編

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
レイプハンター 後編

翔子の中の生命体が呟く。
「犯人が自分の車を使うと考えたほうが間違いだったかも知れない。盗まれたものか、友人から借りたものかどちらにしても他人の車と言う公算が強い」
「そのようね。レンタカーって言うこともあるだろうし。練り直ししなきゃいけなくなってしまったわ」
「知恵を貸そう。犯人の顔は記憶にあるから警察に侵入して犯罪者の顔写真と照らし合わせてみよう」
「そんな事が出来るの!」
「神奈川県警から始めよう。コンピューターを繋ぐことが出来れば可能だよ」
「じゃあ、自宅に戻ってからやりましょう」

翔子は家に帰るなり部屋に籠もってパソコンを操作し始めた。
「ご飯はどうするの?」
母親が尋ねた。
「ありがとう。忙しいから部屋に持ってきて」
「何言ってるの!行儀が悪い。降りてらっしゃい」
「じゃあ食べないから置いておいて」
「仕方のない子ね・・・持って行ってあげるけど、今日だけにしなさいね」
「うん、解ったよ」

部屋中にいい匂いを残しながら作業は進んで行く。

「なかなか見つからないね。前科がないのかも知れない」
「だとしたら、どうするの?お手上げ?」
「日本中の警察に繋いで見つからなければ、次の手を考えないといけないね」
「地方から潜入してきている可能性もあるのかしら」
「調べてみるから待ちなさい」

ものすごい速さでパソコンの画面がめくられてゆく。通常の人間では絶対に判断できない早さだ。
「さすがに東京は多いな・・・」
千葉も埼玉も栃木も茨城も該当はなかった。

「ねえ?やっぱりダメなんじゃないの?次の手って何?」
「警視庁が国道に設置している監視カメラの映像から該当の車を見つける」
「なるほど。殆どの道路に設置してあるから当日この辺りで写っているかも知れないね」
「顔が判別できるといいのだけど」
赤外線のカメラの映像は思ったより鮮明で雨の日でもドライバーの顔が判断できる解像度だった。

「これを見ろ。首都高速に入ってゆくランプに写っている車、解析するぞ・・・お前の記憶と一致したぞ!」
「見せて!こいつだ!間違いない!車種が判別できるの?」
「取り込んだから、ヤナセに持っていって教えてもらおう」
「解ったとして、どうするの?」
「世界中でインターネットが繫がっているだろう?」
「ええ、そうね」
「犯人の顔と車を公開して見つけ出すんだ」
「そんな事出来ないよ。どうやって載せるのよ」
「簡単だ。すでに多くの利用者がいるサイトに写真を付け替えて貼り付ける」
「犯罪よ、直ぐに抹消されてしまうわ」
「大丈夫だ。リセットプログラムを侵入させておく」
「消されてもまた載るって言うこと?」
「そうだ。止められない」
「そんなことしたらすごい話題になって世界中が騒ぎ出すわ」
「犯人が見つかるまでの間にする。何百万の人たちが見て絶対に知っている人物が書き込みをするだろう」
「犯人にとって脅威ね・・・腰抜かすわきっと」
「見つけ出して・・・キミが処刑する。それが使命だよ」
「処刑する、そうだったわね。人殺しには賛成出来ないから、厳罰を与えるようにするわ」
「そんな事で癒されるのか?」
「癒して欲しい訳じゃないの。再発防止に役立てたいの」
「じゃあ、性的不能者にしろ」
「切っちゃうって言うこと?」
「それはお前の言う見せしめを超えるぞ。その場になったら任せておけ」
「どうするの?」
「神経を焼く、切るといった方が正確かな」
「あなたにとってはどんなことも簡単な事なのよね。すごいって思うけど、怖いことね」
「何故怖がる?」
「私の中のあなたが・・・暴走したら、世界が破滅するわ。私の責任っていうことになる」
「私は自分の国がそうなってしまって新しい場所を求めてやってきたのだ。破滅させるようなことはしない」
「そう願いたいわ」

翌日ヤナセを尋ねて車種を教えてもらった。最新モデルではないが、松下修が所有しているE400と同じモデルだと解った。

「松下修さんと同じ車種ね。見逃してしまったのかしら」
「訳を言って車を見せてもらおう。私の記憶をたどれば内装の細かい部分まで確認できる」
「何も手がかりがなかったら、ネットに掲載しましょう」
「じゃあ出発だ」


翔子が尋ねたあの日、家に帰ってきた松下修に父親の浩介は尋ねた。
「夕方に女性が尋ねてきて前田と言うベンツの所有者を探していたぞ。お前知らないか?」
「前田?・・・知らないよ。どうしたって言うんだろう?」
「聞かなかったけど、何か調べごとをしておられる様子だった。関係ないならいいけど、問題起こすなよ」
「何言っているんだい。信用してないなあ。大丈夫だよ」
「それならいいんだが・・・翔子さんが話してくれた日はどうしていた?」
「いつ?」
「一昨日の雨の日だよ」
「ボクは家に居たよ。夜だろう?」
「出かけなかったのか?仕事は?」
「体調が良くなくて早く帰ってきたんだよ。三時過ぎ位だったかな」
「じゃあ、車はここに停めてあったんだね」
「お母さんが使わせてと言って、確か乗って出かけたよ」
「女房が・・・」

妻には自分の車があるはずなのにどうして修の車を借りたのだろう。そのことが松下浩介には気になっていた。
妻の部屋に入ってそのことを確かめた。

「聞いていいか?一昨日の夜修の車でどこに出かけたんだ?」
「えっ?一昨日・・・私の車ガソリン入れ忘れて走れなかったから、借りたのよ」
「途中で入れればいいんじゃなかったのか?」
「あんな雨降りでイヤだったのよ。それがどうかしたの?」
「さっきな、翔子さんという女性が尋ねてきて、E400に乗っている前田と言う人を知らないかと聞かれたんだ」
「前田?だれそれ?」
「俺だって知らないよ。この辺りにいるらしい40代の男性で修と同じ車に乗っているらしいとしか解らないよ」
「それでその前田って言う人が何かしたの?」
「そこまでは話さなかった」
「何のことか解らないけど、今度聞かれたらちゃんと何が聞きたいのか教えてもらってね」
「ああ、そうするよ」

妻は顔色一つ変えずに淡々と応えていた。浩介は疑うこともせずに自分の寝室に入り眠りに就いた。
気にもせずそれからは翔子の話に自分たちは関係ないと浩介は思っていた。


この日仕事に出かける途中で浩介の携帯が鳴った。修からだった。
「お父さん、翔子さんから電話で連絡が欲しいって言われたよ」
「翔子さん?・・・うん解った。会社に着いたら電話するよ」
結構大きな会社を経営している浩介は、社長室に入って秘書からスケジュールを聞くと、席を外すように言って
翔子の携帯に電話を掛けた。

「遅くなりました。何か御用でしたか?」
「松下さん、お願いがあります。今そちらに向かっていますので着いたら修さんの車を拝見したいのですが宜しいでしょうか?」
「修の車をですか?何か事情がおありのようですね。良かったら聞かせて頂けませんか?」
「お電話では無理です。先ほど修さんには私が着くまで出かけないようにお願いはしておきました」
「そうですか。じゃあ引き返しますので、私が戻るまで待っていてください」
「はい、そうさせて頂きます」