小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

INDEX|43ページ/131ページ|

次のページ前のページ
 

六の五  【筍】


【筍】、「竹」の「旬(しゆん)」で…「たけのこ」。
「旬」は、龍が尾を巻いた「勹」と「日」の組み合わせの字体。一番味が乗っている十日間を意味する。

春の旬の食べ物は、竹の旬で【筍】。
このたけのこ、日本にはおおまかに三種類ある。
関東方面に多い孟宗竹(モウソウダケ)。そして、京都の真竹(マダケ)。五月頃に九州から出回ってくる淡竹(ハチク)がある。
特に京都の【筍】は、皮に毛が多く、黒い斑点もあり、あくが強くて苦味もある。しかし、味は逸品。

そんな【筍】の産地は、京都近郊の長岡京。そこに筍料理専門の老舗(しにせ)料亭がある。
八条ケ池を眺めながら数寄屋づくりの座敷で、旬の筍づくし。
木の芽あえ/筍のおさしみ/若竹すまし汁/田楽/むしたけ/てんぷら/焼竹/酢の物/たけのこ飯。
何もかもが筍なのだ。
それらの美味を味わいながら、日本の春を感じる情緒ある一時だ。

以前、そのお裾分けにと、一度外人を招待したことがある。
感想は…「ノー・テースト」(No taste)。
つまり、味なしだとおっしゃる。

旬はなくとも、どうも神戸牛の方がお好みのようだった。
うーん、なるほど。