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ある飛行機の生涯

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 それから、また数年の月日が流れた……。

 そのあいだに、地震や津波で仲間が死んだり、先輩が売られてい
ったりしたが、何年も放置されたままのぼくには何も感じられなか
った……。自分の身を案じることもしなくなり、さっさとスクラッ
プにして、楽にしてくれと思った……。



 そんなある日、変な男たちが格納庫にやってきた。一人は、この
世界の「管理者」とかいう男で、ぼくに興味があるようだ。
「さっそく、作業にとりかかれ」
その男はそう言うと、格納庫を去っていった。

 残された人間たちは作業員のようで、ぼくの周りにいろいろな機
械や工具を運んできた。整備に使う物では無かった。準備が整うと、
彼らは機内に入っていった。ぼくは、いったい何が始まるんだと思
っていた。
 すると、中(機内)でうるさい音が鳴り始めた。どうやら、座席
を撤去しているらしかった。開放されたままのドアから、埃にまみ
れたシートが放り捨てられた。そのシートの上には、数年前まで、
人が座っていたが、今は山のように積み重なっているだけだ……。
 最初は解体されるんだと、ぼくは泣いていたが、どうやら、改造
しているらしく、ぼくの姿や中はどんどん変わっていった。



 ある晩、改造をしていた作業員さんたちが、乾杯していた。どう
やら、ぼくの改造が終わったようだ。さっそく、ぼくは身体(機体)
の調子を確かめた。

 座席があった場所には、筒状の機械が整列するようにずらりと並
んでいた。その筒状の機械の下にはハッチつけられおり、左右に開
くようになっていた。ぼくには、その機械やハッチのことはわから
なかったが、少なくとも民間機として使われるのではないことはわ
かった……。塗装も新しいものになっており、全体が空色で塗られ
ていた……。他にもいろいろな機械が取り付けられていたが、ぼく
にはよくわからないものだった。
 これからのことが少し心配になったが、これ以上、この格納庫に
放置されたままよりかはマシだと、そのときは思っていたんだ……。

作品名:ある飛行機の生涯 作家名:やまさん