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「山」 にまつわる小品集 その参

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   酒と女は気の薬さ 兎角浮世は色と酒
   ササちょっぴりつまんだ 悪縁因縁
   南無阿弥陀 南無阿弥陀 南無阿弥陀 
   わしが欲目じゃなけれども 
   お前のように美しい おなごと地獄へ行くならば
   閻魔さんでも地蔵さんでも
   まだまだまだ 鬼殺し
         (小唄「酒と女」作詞作曲・初代清元菊寿太夫)


「おかあはん、ご機嫌のとこすまんがわしらもう去ぬ(いぬ)わな。今晩はゆっくり寝ぇや」

「そや。寄付するて、ひょっとしてその炭鉱にかいな」
「炭鉱はもうないやろ。温泉地になってるゆうことや。地震の後の事故で住めんようになってるて。そやから県のほうにいく思いまっせ」
「なんでお金にせんと株にしたんやろな。それに少しは残しとくもんやろに」
「そこはあんた、山師としての最後の意気込みを見せたかったんでっしゃろ。あんたらは会社を残してもろてますやん。人生は自分の力で築いていきなはれ。子孫に美田を残さず・・・」

「おかあはんの生活が心配や」
「いざとなったらお座敷に出て唄いましょかいな」


   わざと欠伸をしてみるつらさ
   悲しい涙を隠すため         (都々逸集より)

 線香の白い煙がゆらめき漂い、遺影が“そやそや”と微笑んでいる、
ような・・・


                      2011.9.27