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キジン×ヘンジン×サツジン

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問2 フーダニット・ハウダニット・ワイダニット



 現場の検証というか、死体の確認が終わると、薬師さんは優里さんの手当てのためにロビーへ。
 僕と四方八さんは警察に連絡するため管理室へと向かった。
 この山中では携帯も圏外になってしまうため、唯一つながるのは管理室に置いてある電話だけだ。
 しかし、警察に連絡することは、できなかった。
 なぜなら、電話線を切断されていたからだ。
 仕方なくマスターキーを回収し、切り落とされた吊橋へと向かった。
 吊橋は向こう側に落ちている。
「十一月二十九日さん、これを見てください。血です」
 言いながら四方八さんは、切り落とされたロープを、こちらへ手渡す。
 見ると、切り口には少量ではあるが、血が付着していた。
「――おそらく、電話線についていたものと同じでしょう。犯行の後、犯人は吊橋を落とし、警察への連絡が遅れるよう電話線を切断したってところですかね」
 四方八さんは『探偵』として、そう言った。
 その後、僕らは現場の状況が後からでもわかるよう、写真を撮り、通間さんの死体を中へと搬入した。
 電話線が切断されており、吊橋が落とされている以上、しばらくの間この館にいなければならないということだ。
 そんな現状をロビーにいる人、つまりはこの館にいる全員に、僕らは伝えた。
 そして、僕は口を開き、
「このロビーに、篭城してはどうでしょう?」
 そう、提案した。
「――犯人はだれだか、今どこにいるのか、全くわかりません。ですので、全員で固まっていれば、安全だと思うのですが?」
「良い提案だな」
 疑衣さんが言った。
「もし仮に、――仮にだが、死体の第一発見者である友紙 優里、あるいはアリバイの無い俺、夢埜 愛、四方八 方、大真賀 ネネ、薬師 医病、仕使 十六助が犯人であったとしても、全員で固まっていれば危険も少ない。おっと、忘れていたが謎の侵入者である可能性も捨てきれない。まあ、こんな山奥に来るような者がいるとは、とてもじゃないが思えないがね」
 得意そうに言うと、夢埜さんが、
「ちょっと、どういうつもり!? 私はやってないわよ! わざわざこんなところまで来たのに、なんでそんなこと言われなきゃいけないわけ!?」
「落ち着きなさいよ。……疑衣さん、優里が入っているのはどういうわけ? 確かに優里は第一発見者だけど、犯人に襲われているのよ?」
 優希さんが問い詰める。
「なに、第一発見者だから入れただけさ。それに、腕の傷は犯人じゃなくて被害者に付けられたものかも知れん。結局、犯人に襲われたと言っているのは本人だけなんだ。容疑者に入れておいてもよかろう?」
 さも当然のように、人を、殺人の容疑者として扱う。
 しかし、言葉としては正論を言う。
 その様子に、渋々とした様子で優希さんは、優里さんの容疑を受諾した。
 すると今度は、薬師さんが、
「……篭城、か。確かにある程度の安全性が保たれるのは間違いない。だが、君たちの中の複数が共犯であるかも知れないこともまた、間違いないのだ。そんな中で安心して眠れ、と? とてもではないが私には不可能だ。そうするくらいなら、自分の部屋に立て篭もっているほうがまだ良い」
「では、薬師さんは……」
 僕が言おうとすると、それを遮り、
「ああ。私は自分の部屋に立て篭もる。食事時だけは呼んでくれるとありがたいが」
「わかりました」
 僕はそう言い、
「――他に単独で行動したい方はいますか?」
 全員に聞こえるよう尋ねた。
 他に単独行動を望む人はいないようだ。
 こうして、僕らの篭城は、始まった。