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CROSS 第14話 『挨拶まわり』

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 博霊神社を後にした少佐は、バス停に向かった。少し早めのバス
に乗って紅魔館の近くに着き、時間までその周辺をぶらぶら歩いて
いればいいだろうと考えたからだ。
 バス停には一台の古そうなボンネットバスが止まっていた。少佐
があれに乗ろうと、駆け足でバス停に向かおうとしていたそのとき、
バスは発車していってしまった……。よく見ると、さっき神社の鳥
居ですれ違った観光客の一行がバスに乗っていた。彼らはバスのダ
イヤを知っていたのに違いない。
 少佐はやれやれと思ったが、次のバスに乗ればいいやと思い、バ
ス停に着くと、ベンチに腰を降ろして、ダイヤが書かれた時刻表に
目を通した。

   ガタンッ!

 少佐は時刻表を見た途端、「しまった!!!」と思いながら、ベ
ンチから立ち上がった。なぜなら、次のバスが来るのが、夜遅くだ
ったからだ……。とても約束の時刻に間に合いそうにない……。
 少佐は頭を抱えて、どうするかを考え、バスが走り去っていった
道を見た。道は深そうな森の中へと続いていた……。少佐は近くの
観光客向けの地図を冊子入れから一枚抜き取った。地図は手描きで
雑だったが、この「種類」の地図しかないので、あきらめることに
した。



 バスに乗るのをあきらめた少佐は、地図を片手に歩いて紅魔館に
向かうことにした。深い森の中を通る獣道を、少佐はとぼとぼ歩い
た。地図から紅魔館への道のりは、この森を抜けて、湖の近くに行
けば、紅魔館があるということしかわからなかった……。たぶん、
観光客が歩くことを想定していない地図なのだろう。

 少佐が歩く道の先の分かれ道で、3人の妖精が分岐点の看板の矢
印をくるくると反対方向に回転させた。その3人の妖精は、少佐が
歩いてくるのを見つけると、森の中に急いで隠れた。

 少佐は分かれ道で立ち止まると、分岐点の看板と地図とを何度も
見比べていた。その少佐の姿を見て、3人の妖精は笑いをこらえて
いた……。
「……おかしいな、地図では左なのに、この看板は右を指している
 ぞ」
もちろん、正しいのは地図のほうだ。だが、雑でわかりにくい地図
であることから、少佐は看板のほうを信じることにした。少佐が右
の道を歩いていってしまうのを見た妖精たちは、少佐の耳には聞こ
えないぐらいにして笑っていた……。この妖精たちは、少佐がどこ
に向かっているのかを知っている様子だった……。